研究課題/領域番号 |
19K12832
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研究機関 | 純真学園大学 |
研究代表者 |
岡原 重幸 純真学園大学, 医療工学科, 准教授 (50771185)
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研究分担者 |
辻 敏夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90179995)
曽 智 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (80724351)
伊藤 英史 日本文理大学, 工学部, 教授 (50711462)
宮本 聡史 広島大学, 病院診療支援部, 副部門長 (00835366)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人工心肺 / 血液粘度 / ヘマトクリット / 人工肺 |
研究実績の概要 |
心臓手術中の人工肺の異常に高い圧力の発生は,その原因が不明なまま人工心肺の停止を引き起こし重篤な合併症に帰着する.従来モニタリングされている人工肺圧力は絶対値で,血液粘度などの要因は考慮されない.本研究では圧力を変化させる要因として人工肺を灌流する血液粘度変化に着目している.この物理的な要因から変化する粘度と,ヘマトクリットと温度の生理的な要因によって変化する粘度を比較する新たな指標「血液粘度比」を提案し,操作者に迅速で正確な判断をできるシステムを開発する. 本研究は,灌流中の温度,ヘマトクリットと血液粘度の系統的調査から標準血液粘度推定法の提案し,連続血液粘度比モニタリングシステムの構築および評価,そして臨床での適用を目指し,(1)人工心肺中の温度とヘマトクリット情報から標準血液粘度推定モデルを構築,(2)モデルに基づく標準血液粘度を利用した新指標「血液粘度比」の提案,(3)血液粘度比モニタリングシステムの構築,(4)提案システムのin vitroでの評価,(5)提案システムの臨床への適用,以上5つのステップに分けて研究を進めていく. 2020年度は,(2)(3)に取り組み,以下の研究成果を得た,従来モデルの人工肺の圧ー流量の物理的特性により得られる推定血液粘度と,2019年度に構築したモデルに基づくヘマトクリットと温度による生理的特性により得られる標準血液粘度を比較する指標「血液粘度比」のアルゴリズムおよびそれを作動させるシステムを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は,前年度に構築した人工心肺中の温度とヘマトクリット情報を使用した標準血液粘度推定モデルを応用して,「血液粘度比」システムの開発し,その評価までを目指していた.システムの開発はおおむね進展させることができたが,システムのin vitro評価については,予定していた研究施設での実験が,コロナ禍の社会情勢のため,十分な回数の実験を実施することができず,全く進展させることができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,2020年度に実施できなかった提案アルゴリズムおよびシステムの評価に取り組む. ウシまたはヒト血液製剤を使用して過剰アルカレミア環境での灌流や,抗凝固薬の不使用により赤血球変形能異常や凝固能促進状態を模擬した実験を行なう.この状態における提案システムの血液粘度比と電子顕微鏡で観察した赤血球の形態を調査して,人工肺不良検出の感度を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた実験が,コロナ禍の社会情勢のため必要回実施できなかったため,人工肺などの医療材料および血液試料などの消耗品を当該年度で購入を見送ることとした. (使用計画) 次年度は,システムの評価を実施するため,人工肺などの医療材料,ヒトまたはウシ血などの試薬を購入し実験する予定である.
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