低線量X線動画イメージングによる新しい肺機能診断法の創出と臨床応用

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K12841
• 研究機関: 金沢大学
• 研究代表者: 田村 昌也 金沢大学, 附属病院, 講師 (10397185)
• 研究分担者: 竹村 博文 金沢大学, 医学系, 教授 (20242521) ; 笠原 寿郎 金沢大学, 医学系, 准教授 (30272967) ; 田中 利恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (40361985) ; 真田 茂 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (50020029) ; 松本 勲 金沢大学, 医学系, 准教授 (80361989)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 動的呼吸機能検査

研究実績の概要

動画対応FPDを用いた低線量X線動画イメージングによる臨床データを解析し、論文にて成果を発表した。COPD症例を対象とし、肺野の最大吸気、呼気時の肺表面積変化率がRV/TLC比と相関がみられることを証明した１）。またDCR検査による肺腫瘍の壁側胸膜への癒着や浸潤の有無の術前診断能について平均的な体形のファントム模型を用いて２）、さらにヒトを対象として３）検討し、その有用性を証明した。さらにはDCRの肺換気、血流の評価能を、従来の核医学検査（肺・換気血流スキャン）を比較し、各々有意な相関がみられることをしめし４）、本検査法の有用性を証明した。
１）Ohkura N, Tamura M, Matsumoto I: Respiration 99(5):382-388, 2020
２）Tanaka R, Matsumoto I, Tamura M: Med Phys Feb3 doi.1002/mp.1470. 2021
３）Tamura M, Matsumoto I, Tanaka R: Radiol Case Rep 15(6):702-704, 2020
４）Tanaka R, Matsumoto I, Tamura M: Med Phys Jul20.doi:10.1002/mp. 2020

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時の研究計画にほぼ則り、研究成果を得ている。

今後の研究の推進方策

Ⅰ：吸気、呼気での肺の面積変化率を数値化し、臨床データ（従来の呼吸機能検査データや、術後合併症の有無など）と照合することで、① 術前肺機能の評価② 術後合併症の早期発見、の観点から本検査法の有用性を検討する。
Ⅱ：本検査法は呼吸運動を視覚的にとらえることが可能であり、腫瘍と胸壁・大動脈・横隔膜等との位置関係、さらには横隔膜の動きそのものを評価することで、③ 肺腫瘤の胸壁や他臓器（大動脈、横隔膜など）への浸潤の有無の評価④ 横隔神経麻痺の有無の評価
Ⅲ:肺血流量を視覚的に評価することで、
⑤ 肺血流から肺腫瘤の良悪性の鑑別、上記の観点から、本検査法の有用性を検討する。

次年度使用額が生じた理由

統計解析ソフト購入費用、論文投稿費用として使用する予定である。