研究課題
初年度は、低線量X線動画像イメージング(DCR)による肺機能診断法に関して臨床データを解析し、呼吸器外科臨床における有用性の評価を行った。1:肺機能評価、2:肺換気・血流評価において検討を行い、本検査法が安価、簡便、低侵襲で汎用性が高く、肺切除症例において術後呼吸機能の予測や手術適応の決定に有用となる可能性があることを学会発表した。次年度は動画対応FPDを用いた低線量X線動画イメージングによる臨床データを解析し、論文にて成果を発表した。COPD症例を対象とし、肺野の最大吸気、呼気時の肺表面積変化率がRV/TLC比と相関がみられることを証明した。またDCR検査による肺腫瘍の壁側胸膜への癒着や浸潤の有無の術前診断能について平均的な体形のファントム模型を用いて、さらにヒトを対象として検討し、その有用性を証明した。さらにはDCRの肺換気、血流の評価能を、従来の核医学検査(肺・換気血流スキャン)を比較し、各々有意な相関がみられることをしめし、本検査法の有用性を証明した。次々年度はこれまで集積したデータを解析し、学会や論文にて発表を行った。本検査法が閉塞性肺疾患の診断に、さらには呼吸機能検査として有用であること、従来行われている核医学検査(肺換気血流スキャンなど)の代用となりうる可能性について英文論文にて報告した。さらには本検査法の現状と将来展望についての総説を和文論文として発表した。最終年度は腫瘍性病変の胸壁への浸潤や癒着の有無に関する術前診断の可能性について、4DCTや動態MRIとの診断能の比較や、実験動物を用いた解析、検討などを行った。学会発表、論文発表を準備中である。