研究課題/領域番号 |
19K12842
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
上原 雅行 岐阜大学, 高等研究院, 准教授 (10533309)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝子検査 / 病原体 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、研究計画に記載した肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)や百日咳菌(Bordetella pertussis)、インフルエンザウイルスの迅速/高感度検出対応「遺伝子検査試薬」の研究開発および試作化を重点的に実施した。また、現在の社会情勢を鑑み、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出試薬の研究開発および試作化も昨年度に引き続き実施した。 前年度までに構築した高速条件下においても安定的に核酸増幅可能な実験系を活用して、上記それぞれの病原体に対応した機能性物質修飾型の独自の蛍光プローブを開発設計し、機能性物質の挿入位置や挿入配列、挿入頻度等の効果を検証した。その上で、再度、試作試薬の各種パラメーターの全体最適化や、検出装置・測定チップの改良等を行い、独自の検出系において病原体のゲノム配列を含むプラスミドDNAの増幅確認実験を実施した。その結果、「菌由来 DNA 20 copies/μl、ウイルス濃度 50 pfu/ml」という検出条件下においても5~7分程度で核酸増幅を確認し、従来システム(既存装置や市販試薬等)と同等の検出感度を達成した。 今年度得られた上記結果(各種データ等)について大学の知財部門(弁理士等)と情報交換を行い、関連する先行特許調査に取り組むなど、特許出願に向けた検討を開始した。 また、遺伝子検査装置の開発・製造販売を手掛ける医療機器メーカーと秘密保持契約(NDA)および学術コンサルティング契約締結の下、実用化に向けた情報交換を実施した。さらには試薬メーカーおよび診断薬メーカー担当者ともオンライン上で情報交換を実施し、今後の連携の可能性について検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、研究実施計画に記載した事項を着実に進めることができたため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に引き続き、令和4年度も肺炎マイコプラズマや百日咳菌、SARS-CoV-2をはじめとする感染症ウイルス/細菌に特化した検査試薬の試作化とそれに最適化した遺伝子検査システムの研究開発を推進する。また、特許出願に向けた準備や実用化に向けた企業や他大学との共同研究開発を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費として試薬類(特注の蛍光プローブやプライマー、ポリメラーゼ、市販ゲノムなど)を計上していたが、令和3年度も新型コロナウイルス感染症の影響(研究実施制限や試薬入手遅延など)に伴い、当初計画より実験規模を縮小したため、次年度使用額が生じた。次年度は、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、実験規模を拡大する予定。
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