研究課題/領域番号 |
19K12847
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
高山 法也 自治医科大学, 医学部, 助教 (40807880)
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研究分担者 |
谷口 信行 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245053)
小形 幸代 自治医科大学, 医学部, 講師 (10448847)
新田 尚隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60392643)
秋山 いわき 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (80192912)
力山 敏樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (80343060)
笹沼 英紀 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90511709)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 音響放射力インパルス / 肺 / 損傷 |
研究実績の概要 |
音響放射力インパルス(ARFI)は組織の硬度を測定する新たな超音波検査として近年臨床応用されているが、我々はこれまでに動物実験においてARFIの照射により意図しない肺損傷が起こる可能性を報告してきた。今回、ARFIの安全性を検討するため、臨床使用されているARFIに近い条件に設定して実験を行った(本実験は文部科学省における「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」に従い、自治医科大学動物実験委員会の承認(承認番号17233-01)を得たものである)。方法としては全身麻酔下にウサギを仰臥位とし、呼吸コントロールのために気管チューブを留置し、ARFIプローブ(5.2MHz linear probe)を使用して、左右の上腹部肋弓下の体表からBモードで肺表面を描出し、照射部位を決定、一時的に呼吸を停止させた上で、同部位に照射を行った(本装置はBモード表示部とARFI送信部をスイッチで切り替えて使用する特注品である)。照射の条件はPulse duration (PD): 0.3ms, focus: 30mm、照射回数: 30回、照射間隔: 3sとし、Mechanical Index (MI)を6段階に設定(①0.37 ②0.49 ③0.58 ④0.75 ⑤0.84 ⑥0.88 それぞれの条件で3羽のウサギを使用し、それぞれ左右一か所ずつ照射を行った。結果は肉眼所見としては照射した部位に一致して肺表面にred spotを認めた。病理組織所見(HE染色)では照射部位の胸膜直下に肺胞出血を認めた。MI値と肺損傷(red spotのサイズ)の間には強い正の相関を認めた。以上より本実験のARFIの照射条件は照射回数については実臨床とかけ離れているものの、臨床使用されているARFIに近い条件下において、ウサギの肺損傷(肺胞出血)が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床使用下でのARFIの安全性を検証するため、我々がこれまでウサギで行ってきた実験系をよりヒトに近い結果が得られるように大動物(ブタ)に応用して実験を行う予定であったが、大動物の実験に移行するにあたり、その前段階となるウサギでの実験データがまだ不十分と判断し、現在はウサギでの追加実験中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
ウサギでのデータを集積後に、同様の実験モデルを大動物であるブタに応用する。これによりヒトにおける臨床使用に近い条件でのARFIの安全性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初実験動物として予定していた大動物(ブタ)の購入費用を見積もっていたが、大動物での実験の前段階としてウサギでのデータがまだ不十分と判断し、現在はウサギでの追加実験中であるため。次年度以降に大動物での実験を予定している。
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