研究課題/領域番号 |
19K12848
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
青木 武士 昭和大学, 医学部, 准教授 (30317515)
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研究分担者 |
古泉 友丈 昭和大学, 医学部, 講師 (00384412)
田代 良彦 昭和大学, 医学部, 助教 (20636245)
村上 雅彦 昭和大学, 医学部, 教授 (70255727)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 術中リアルタイムがん診断法 / 共焦点レーザー内視鏡 / がん自動診断解析システム |
研究実績の概要 |
プローブ型共焦点レーザー内視鏡(Confocallaserendomicroscopy;pCLE)は、リアルタイムで顕微鏡レベルの拡大観察が可能である。術中にpCLEを使用することで、良悪性診断や断端診断の際に行われる術中迅速病理診断の質的向上が期待されている。本研究では、消化器ガンにおいてpCLEを用いた術中リアルタイムがん診断法の確立と細胞・組織形態情報を基盤としたガン自動診断解析システムの開発を目的とする。今年度は、手術摘出標本の観察と術中リアルタイム臓器観察を実施し、生体組織イメージングの有用性や安全性の評価を行なった。まず手術摘出標本の観察を行なった。10%fluorescein0.1mLを生理食塩水20mlに希釈したものを各摘出生体組織(肝、胆のう、胆管、膵管)に散布後、pCLEで観察し、pCLEの内視鏡画像と病理組織画像を比較した。次に、昭和大学医学部倫理委員会承認のもと、術中リアルタイム臓器観察を行なった。術中にフルオレサイト2.5ml(250mg)を静注し、pCLEを用いて胆管、主膵管粘膜を観察した。これらの観察では、癌部の粘膜上皮細胞が不規則な構造を持ち、大小不同、darkorblackappearanceを呈していることから、H-E所見と類似していることを確認し、pCLEを用いた術中リアルタイム診断は迅速病理診断を補完する可能性が示唆された。次に、そのpCLE画像を人工知能(Artificial intelligence: AI)を組み合わせ、術中リアルタイムがん診断の可能性を検討した。AI開発ツールのMaximo Visual Inspection(IBM社)を導入し、正常・悪性診断予測モデルを構築した。テストデータを用いて正常・悪性診断を行った結果、悪性所見の正答率は81.3%、正常所見の正答率は92.0%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
切除標本に対するpCLE観察症例は着々と蓄積されているが、臓器によって撮影された画像のクオリティにばらつきがあり、その条件検討に時間を要している。また、術中リアルタイム観察の症例数の集積に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として、まず術中にリアルタイムに観察する症例数を大幅に増やす。そして、pCLEの内視鏡画像と迅速病理診断・最終病理診断との比較検討を継続して行うことで診断精度の向上を行う。それらと並行して今回導入したAIのシステムに適宜教師画像を加えて、精度の良いモデルの構築と、テストデータを用いて各臓器の良悪性診断を行っていく。そして、そのシステムが確立された場合、ICTを介した情報共有システムの構築を行う。情報共有システム上で、pCLE画像データを支障なく安全に閲覧、病理医によるリアルタイムpCLE画像診断とAIによる自動診断を比較し、テーマ実現に向けて研究計画を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた、共焦点レーザー内視鏡用のプローブを購入しないで済んだため。またCOVID-19により旅費が不要であった。令和2年度には、新しいプローブを購入し、積極的に学会発表と論文発表を行う。そして、AI診断に向けて、システム開発を行なっていく。
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