研究課題/領域番号 |
19K12856
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
平沢 壮 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医用工学, 助教 (60583086)
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研究分担者 |
東 隆一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 形成外科, 准教授 (00531112)
大川 晋平 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医用工学, 助教 (20432049)
石原 美弥 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医用工学, 教授 (30505342)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 光音響イメージング / 光音響顕微鏡 / マルチスペクトル / ハイパースペクトル / 分光計測 |
研究実績の概要 |
本研究では,体動の影響を受けずにメラニンの選択的検出が可能な,波長可変光源を使用しない新しい原理に基づくハイパースペクトル光音響顕微鏡を開発し,生体模擬試料を対象としたイメージング実験により性能を評価し,動物実験に適用して皮膚がん病変広がり診断性能を評価する計画である。 今年度は,新原理に基づくハイパースペクトル光音響顕微鏡の検証のために必要な光学部品を購入して,光音響励起用の光学系を構築して光学系の評価を行った。構築した光学系に既存の光源からの出力光を適用することで,新原理に基づく分光計測に必要となる所望の効果が得られた。以上の結果より,新原理に基づくハイパースペクトル光音響顕微鏡の可能性が示された。 上記に加えて,次年度に実施予定であった,検出系の感度改善のための検討を前倒しして実施した。特に,光音響信号の検出に用いる超音波センサの感度を改善するために,検出素子の大きさ,厚み,表面曲率などのパラメータや,超音波センサの後段に適用するプリアンプの特性(インピーダンス特性,配線,雑音特性など)が,信号対雑音比に与える影響を理論的に分析して実験結果と照合した。従来は,観測対象で発生する光音響信号を広い立体角で受信することで感度を改善できると考えられてきたが,立体角の増加による感度改善には限界があり,感度極大となる条件があることを見出した。本結果より,超音波センサの信号対雑音比を最大化するための設計を可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,新原理に基づくハイパースペクトル光音響顕微鏡の検証のために必要な光学部品を購入して,光音響励起用の光学系を構築して光学系の単体評価を行った。構築した光学系により所望の効果が得られる一方で,想定以上の光量ロスが発生しており,検証実験に支障をきたしている。 このため,次年度に実施予定としていた装置系の改良を前倒しして実施した。光学系の改良のために,前述の光量ロスの要因を分析した結果,光量ロスの要因について特定したため,次年度に改善予定である。検出系の改良のために,超音波センサの改良設計についても実施したため,次年度以降に実施する。これらにより,原理検証および皮膚がん病変広がり診断性能評価を推進できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果より,ハイパースペクトル光音響顕微鏡の原理検証実験を実施可能な状況となったため,次年度以降速やかに原理検証実験を実施する。これと並行して,皮膚がん細胞(メラノーマ細胞)の培養を開始し,速やかに細胞実験及び動物実験を開始できるようにする。研究の進行に応じて速やかに動物実験を開始できるように,学内の動物実験倫理委員会への申請手続を並行して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
光音響顕微鏡構築のために用いる治具について,既存の治具を用いて検討を進めることが可能であったため,本年度は購入を見送った。既存治具を用いた検討の後,専用治具を調達し,装置の高性能化・高精度化を図る。
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