研究課題/領域番号 |
19K12863
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福山 篤司 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (40452198)
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研究分担者 |
小山 修司 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 准教授 (20242878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 血流動態解析 / パラレルイメージング技術 / 圧縮センシング技術 / 流体ファントム / 拍動流 / velocity encoding(VENC) / 壁剪断応力 / 流体実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、独自に考案した液体ファントムを用いて、撮像時間短縮技術を使用した際のMR画像による血流動態解析の精度を検証し、臨床応用における有用性を明らかにすることである。それを実現するために、まずは流体実験で使用出来る精度検証用ファントムの設計と製作を行った。ファントムの作製を依頼した会社と早々に打合せを行い、完成までの時間を大幅に短縮する事ができた。流体実験に使用する脈動ポンプも概ね予定通り調達することができ、実際に流路を組んでの予備実験も滞りなく進めることが出来た。 パラレルイメージング技術を用いた際の3D cine phase contrast 撮像法における流速測定の精度検証を行った。3テスラMR装置内に3方向の流速が測定可能な流体ファントムを設置し、ポンプを用いて擬似血液を平均流速30cm/sの定常流で流した。PATファクタを2から4まで変化させ、平均流速と最大流速を測定し、実測値と比較することによって精度を検証した。この実験では、いずれのPATファクタにおいても、最大流速は約3%の誤差であったが、平均流速はPATファクタは大きくなるに従って、誤差も大きくなることを明らかにした。これは信号雑音比が低下する事に起因すると考えられる。この研究内容の一部は、オンライン開催となってしまったが、European Congress of Radiology(ECR)2020などで報告を予定している。 当初は次年度で計画されていた研究項目「圧縮センシング技術を用いた際の精度検証」を前倒しで実施した。平均流速を20, 40, 60 cm/sに変化させた際の流速測定の精度を検証し、空間的平均流速は実測値と高い相関を持っているが、最大流速は設定流速が高くなるに連れて、過大評価していることを明らかにした。この結果は英語論文として著名な学術雑誌に投稿すべく準備しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の研究計画は、(1)精度検証用ファントムの設計と製作、(2)流体実験の器材調達と調整、(3)パラレルイメージング技術を用いた際の精度検証(定常流)となっていたが、全て順調に完了したため、2年目の研究計画にあった(4)圧縮センシング技術を用いた際の精度検証(定常流)も前倒しで実施した。このように計画よりも若干早い進捗状況となっているため、概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に行った流体実験はすべて定常流によるものであった。2020年度の研究は、拍動流における精度検証を計画しているので、時間分解能の検証も行えると予想できる。なお、局所撮像技術を使用した際の血流動態解析の精度検証は、MR装置の都合上、未だ行えておらず、今後の検討事項である。 得られた研究の成果は遅延なくまとめ、国内外の関連学会で報告し検討を行い、国際的に著名な学術雑誌に投稿する。 研究費は流体実験時のMR装置使用料や成果発表旅費などに使用し、適切かつ厳正に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月にオーストリア・ウィーンで予定されていたEuropean Congress of Radiology(ECR)2020が延期となり、WEB開催となっったことで旅費が執行されなかったことと、使用料金が発生するMR装置を用いた実験を行わなかったため
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