研究課題/領域番号 |
19K12869
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
斉藤 光江 順天堂大学, 医学部, 教授 (30205679)
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研究分担者 |
江口 英孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00260232)
新井 正美 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 先任准教授 (20232027)
堀本 義哉 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40424246)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 疾患レジストリー / 男性乳がん / 稀少がん / 遺伝カウンセリング / 遺伝子解析 / ゲノム解析 |
研究実績の概要 |
いわば稀少疾患である男性乳がんは、その実態が解明されているとは言えない。本研究では、疾患レジストリーを作成し、保険診療で把握できる臨床病理学的特徴のみならず、同意が得られた患者のゲノム解析を通して、女性の乳癌との差異と共通点から、主には女性が対象となって実施されている大規模臨床試験の結果をもとに行われている薬物療法の外挿で良いのかを検討する。現在、臨床病理学的評価が可能な20例の臨床データと、ゲノム解析の同意を取得した4例の遺伝子解析を進めている。本研究は、本学のIRBで承認されており、遺伝学的倫理的な問題については、研究分担者の新井正美医師が担当をしている。ゲノム解析に関しては、同じく協働研究者の江口英孝氏が、病理学的な評価は、堀本義哉医師が協働して行っている。 これまでの20例で得た知見は、当初仮定していた家族歴(遺伝性乳癌卵巣癌症候群を疑う)が濃厚な症例が少数派であること、前立腺癌の併発例がないこと、遺伝性乳癌卵巣癌症候群であるか否かの遺伝子検査受診に積極的な症例が少ないこと、HER2タイプは皆無であること、トリプルネガティブ乳癌が含まれること、Luminal タイプ(女性ホルモン受容体陽性)はガイドライン推奨通りタモキシフェンを全例服用していることなどであった。 本レジストリーはまだ少数例のデータの蓄積に過ぎず、まだ論文報告ができる段階ではないために、未発表である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
男性乳がんの新規発症者が予想より少ない。一般には、女性乳癌100名に対し、男性乳癌1名の頻度で発症していることが統計では示されているが、本学の附属病院においては、300名対1名以下の頻度であり、この1年は新型コロナの感染症流行の影響もあり、受診数の減少もあいまって、1年間で新患が1名であった。この1名は同意取得が叶ったが、かつて患って、通院中の患者も受診回数が減り、年に一度の受診になっている例も多く、同意取得の入り口がボトルネックになっていた。 作業の滞りは、かつての症例の病理像の確認と、採取できたサンプルの解析に充てたが、やはりコロナの影響で、他の分院を訪問して、症例の拡大を図ることも難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の目標は、本学分院(3病院)の協力も得、更に同意取得症例を増やして、ゲノム解析が可能な症例を増やし、本邦の男性乳がんの特徴を探るとともに、各々の乳癌の病理学的サブタイプ、臨床病期と遺伝学的背景が、薬物療法の効果に及ぼす影響を無病生存曲線や全生存曲線で、後方視的に評価する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゲノム解析をする同意取得が得られた症例の数が少なかった。症例集積のための分院訪問が出来なかった。学会出張が無かった(コロナの影響で)などが理由である。
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