研究課題/領域番号 |
19K12877
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
姜 銀来 電気通信大学, 脳・医工学研究センター, 准教授 (70508340)
|
研究分担者 |
横井 浩史 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90271634)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 筋電センサ / 圧力 / マルチモーダル信号計測 / 義手 |
研究実績の概要 |
失った肢体機能を再建するための筋電義手を自分の身体の一部であるように切断者が自由自在に操るためには,切断者の直感的な制御意図を読み取る必要がある.しかし,切断部位と残存組織より計測できるsEMG(表面筋電図)のチャンネル数と質は限られ,制御意図の安定的な識別が困難である.本研究の目的は,相補的な関係を持つマルチモーダルな生体信号の計測と解析を総合的に行うことで,利用者の制御意図をより安定かつ正確に同定することである. 2019年度は,マルチモーダル生体信号を計測できる単体センサの開発は目標とした.皮膚表面の立体構造にフィットするために,生体適合性がよい導電性シリコーン材料を作り,sEMGと生体IMP(インピーダンス)の計測で共有する電極を開発した.導電性シリコン材料の導電性を検討した結果,電極―皮膚接触側の導電性カーボンブラックの混入率を低く(2.6%),電極-増幅器側の混入率を高く(4%)することで,よりSN比の高い筋電信号が得られることが分かった。シリコン材料の変形を赤外線の反射率で計測することで圧力を計測するための層を設けて,マルチモーダル生体信号を計測する単体のセンサを開発した.sEMGの増幅・フィルター回路および圧力の計測回路を集約し,弾性の布バンドに縫い付けることで,小型で柔軟な多点計測センサバンドを開発した.さらに,前腕部で計測したマルチモーダル生体信号より,14種類の手動作を分類する実験を行い,マルチモーダル信号による識別精度は,単一モーダル信号より高かった結果が得られた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発目標である,マルチモーダルな生体信号を計測できる単体センサを実現したため,おおむね順調に進展いていると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
計画通りに,マルチモーダルな生体信号から利用者の制御意図を読み取る方法を検討する.それぞれ単一信号の識別モデルとマルチモーダルな生体信号の識別モデルをそれぞれ構築し,信号間の相補関係を解析する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
センサの制作に必要な設備は共同研究の研究室の物を使用し,また,学会発表の旅費は大学と財団の渡航支援を申請したため,次年度使用額が生じた. 次年度は,ディープラーニングを用いた情報解析方法を開発する計画である.そのための計算機の購入に使用する.
|