研究課題/領域番号 |
19K12877
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
姜 銀来 電気通信大学, 脳・医工学研究センター, 准教授 (70508340)
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研究分担者 |
横井 浩史 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90271634)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋電センサ / 表面筋電図 / Force Myography / 義手 |
研究実績の概要 |
本研究は、筋電義手の利用者の制御意図をより安定かつ正確に同定するため、相補的な関係を持つ生体信号を総合的に計測・解析する方法を開発している。令和2年度は、異種の生体信号を計測できる単体センサの改良及び生体信号の解析を行った。 昨年度に開発したsEMG(surface Electromyography)とFMG(force Myography)のデュアルモーダルセンサが高い分類精度を示したが厚みが16.5±0.5mmとやや大きく実用性に欠けていた.今年度は厚みをより小さくし,小型化したセンサを提案した。新しいセンサは、sEMGを取得するための筋電センサ部分とFMGを取得するためのFMG計測部分の2つから構成され、FMG計測部分は光反射方式から歪ゲージ方式に変更した。厚さは10mmと従来型センサの62.5%の厚みに抑えることに成功した。 信号の解析において、SVMとLayer-Fusion CNNを識別器として、sEMGとFMGそれぞれを使う場合と両方を使う場合の識別率を比較した。9人の被験者に対して、22種類の前腕手部動作の識別実験を行った。いずれの識別器でも単一信号比べる、sEMGとFMGを両方利用する場合の識別精度が高く、それぞれ識別精度の伸び率は21.31%(SVM)と16.71%(Layer-Fusion CNN)であった。以上の結果により,FMGはsEMGの補償信号としてセンサシステムのロバスト性を向上させ、sEMG信号の重要な補完情報となることが示された。このことから,sEMG-FMGデュアルモードセンサを用いることによって,パターン識別制御型の多自由度筋電義手を安定的に制御できるようになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
開発目標であるマルチモーダルな生体信号の計測および解析の方法が確立できたうえ、次年度の研究内容である計測装置の小型化及び解析方法の実装に着手したため、計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに、階層的な情報処理アーキテクチャーの構築を行う。異種生体信号の蓄積と解析を実施しながら、義手を制御するための実用的な生体信号計測解析システムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した国際学会発表は、COVID-19パンデミックにより取りやめたため、次年度使用額が生じた。次年度は、階層的な情報処理アーキテクチャーを構築する計画であり、そのための計算機やマイコンなどの購入に使用する。
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