研究課題
本研究は、切断者の残存筋肉より得られるsEMG(surface Electromyography、表面筋電図)情報不足の課題を解決するため、筋電以外の筋活動情報としてFMG(Force Myography)を導入した。sEMGとFMGを計測できる単体センサの開発と,sEMGとFMGより前腕手部動作の同定法の検討を行った。令和3年度は、単体センサのFMG計測部分の薄型化とsEMGとFMG信号の相補関係の解析、および識別手法のマイコンへの実装を行った。FMGの計測部分に関して、光反射方式と歪ゲージ方式を比較した結果、歪ゲージ方式は比較的に薄くできるが、歪ゲージの場所によって信号が大きく変動するため、均一的に製作し難いことが分かった。光反射方式を薄くするため、最適検出距離の短いフォトリフレクタを使用した。その結果、FMG部分の厚みを25%低減したうえ、従来のセンサで計測した信号と同等の手部動作識別性能が確認された。信号の解析において、汎化能力の高いLayer-Fusion CNNを識別器として、sEMGとFMGより22種類の前腕手部動作の識別実験を行い、sEMGとFMGとの相補関係およびその識別率への影響を解析した。sEMGとFMGを両方利用する場合健常者9人の被験者に対して平均的に93.0%±3.3%の識別精度が得られた。sEMGのみとFMGのみの場合はそれぞれの識別精度がそれぞれ78.4%±5.4%と74.8%±6.2%であり、マルチモーダル信号の有用性が示された。個別信号としてsEMGより得られる識別率が高いが、FMGは補償信号として全体のロバスト性を向上させたと考えられる。また、開発した単体センサおよび識別機を筋電義手の制御に応用するため、Layer-Fusion CNN の小型マイコンへの実装を試みた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
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