研究課題/領域番号 |
19K12880
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
田中 久弥 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (80296384)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / 早期診断 / ブレインコンピュータインタフェース / 軽度認知機能障害 / レビー小体型認知症 / アルツハイマー型認知症 |
研究実績の概要 |
本研究では,誤入力距離値SEDVを用いて神経心理学検査MMSEで初期認知機能低下レベル(L0~L2)と判断された高齢者を,神経心理学検査FABまたはMOCA-Jの点数で分類し,MMSEによる群分けでは明らかにできなかった認知機能の低下が軽度の高齢者の判別も可能かを検討した.またMMSEの点数だけでは明らかにすることのできない,認知症の症状別の比較も行い,BCIで認知症の早期診断は可能かを明らかにすることを目的とした.結果,FAB,MOCA-Jによる群分けともにSEDVに有意な差が見られたため,先行研究では明らかにすることができなかった,MMSEの点数でL0~L2と判断された高齢者の判別も可能だと示すことができた. また,BCIによる認知症の早期診断の可否を明らかにするために,専門医の所見に基づいて健常高齢者(NC),軽度認知障害(MCI),レビー小体型認知症(DLB),アルツハイマー型認知症(AD)と診断された高齢者の比較も行った.その結果,非認知症群とも言い換えられるNC群,MCI群と認知症群であるAD群の間でSEDVに有意差が認められたため,SEDVでAD患者とNC群,MCI群の判別が可能だと示すことができた.従って,BCIによる認知症の早期診断に一歩近づいたと言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験によるデータ収集が順調である
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今後の研究の推進方策 |
認知症群であるDLB群とNC群,AD群の間ではSEDVに統計的有意な差は見られず,本研究の最終的な目的であるNC群とMCI群の判別に関してもSEDVのみでは難しいことも示された.これらはSEDV以外にBCIで計測が可能なP300成分の潜時や振幅の解析も行い明らかにしていく必要があると考えた.また,NC群のサンプル数が非常に少ないため,今後NC群のデータ数を増やす必要があることと,分類が可能だと示すことができたNC群,MCI群とAD群に対して,機械学習を用いた分類を行い,BCIによる診断が高感度で可能かも明らかにすることが今後の課題である.また,AD,DLB以外の認知症である血管性認知症(Vascular Dementia: VaD)や前頭側頭型認知症(Frontotemporal Dementia: FTD)の高齢者の計測も行い本研究と同様に比較する必要もある.
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