研究実績の概要 |
1.BCIタスク中の律動脳波(β/α)によるMCI,ADの統計的有意な分類法を開発した。律動脳波(β/α)とθ波の発生割合において、認知機能に疑いのない高齢者・軽度認知障害者・アルツハイマー型認知症患者のそれぞれに統計的有意差が認められた。 2.神経心理指標MMSE, Moca-J, FABを予測する回帰分析モデルを開発した。外れ値を除去した結果,各神経心理学検査の推定モデルにおいて、自由度修正済み決定係数は0.95を超え,先行研究の約0.50に比べて高精度な推定モデルを作成できた。 3.事象関連電位を高速に解析する手法を開発した。計測した 8 つの電極で 200ms から 500ms の間に P300 が確認されたため,P300 スペラーによる P300の短時間計測の可能性が示唆された。 4.律動脳波の電極間位相情報からMCI,ADの特徴を可視化する方法を開発した。認知機能低下に伴い優勢周波数が低下する一方で、その変動性は増加した。また、電極間位相情報は、認知機能低下に伴い全体的に高くなった。これにより、タスク時の脳波は認知症が進行するほど同期性が高いと考えられる。同時に、タスク時の脳波も、安静閉眼時の脳波と同様の効果が得られる可能性が示された。 5.症状・状態をを分類する機械学習モデルを開発した。疑いなし群を含む 4 分類で正答率は 57.1%,疑いなし,軽度認知障害,アルツハイマー型認知症の 3 分類で正答率 69.0%,疑いなしと軽度認知障害で正答率は 78.3%であった。 6.検査スクリーンにおける空間的な注意集中の可視化法を開発した。判別得点を用いた注意集中プロットを作成し,認知症患者間での違いを検証した。文字における判別得点の値が、認知機能疑いなし高齢者群,MCI,ADになるにつれ低くなり、ADはターゲット文字が含まれる行と列以外にも反応する傾向がみられた。
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