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2020 年度 実施状況報告書

関節可動域訓練の技能習得用教材となる症状選択型膝関節モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K12882
研究機関長野保健医療大学

研究代表者

高嶋 孝倫  長野保健医療大学, 地域保健医療研究センター, 教授 (00425654)

研究分担者 福谷 保  長野保健医療大学, 保健科学部, 専攻長 (00446171)
丸山 貴之  国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 学院(研究所併任), 義肢装具士 (30727160)
内藤 尚  金沢大学, フロンティア工学系, 准教授 (40392203)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード関節可動域訓練 / モデル解析 / 膝関節インピーダンス
研究実績の概要

本研究は,理学療法士の教育で使用可能なROM訓練用の膝関節モデルの開発である.膝関節疾患の状態を模した関節インピーダンスをモデルで再現することが重要であり,そのために(1)実際に膝関節疾患をもつ被験者から角度-関節インピーダンスの計測・解析を行い,(2)その結果を基に膝関節モデルを構成するサーボモーターへの指令値を作成する.(3)膝関節モデルは大腿部,下腿部を骨格部,軟部組織部を有する実体感のあるモデルとし,(4)サーボモーターのトルク制御によって患肢の関節インピーダンスと同等の抵抗を発生させる.(5)膝関節モデルの検証は経験ある理学療法士によって感覚的に行う.
(1)については,2019年度に続いて新型コロナウィルス感染症予防の観点から患者に対して,さらに病院内での計測実験を行うことは不可能な状況であった.
(2)は(4)の構築と動作確認,制御試験などで必要であるため,教科書的な既知の膝関節の特性を数値化した数値を用いることで対処している.
(3)下腿部については下腿形状を模した軟部組織部の内部に骨格部である脛骨モデルを配した,生体を模した構造の実体感のある下腿モデルを作成した.脛骨モデルは脛骨の骨格形状データを基に3DプリンタでPLA樹脂を用いて出力した.下腿モデルの製作は3Dスキャナで取得した下腿形状データを基に下腿の型を3Dプリンタで出力し,その型の内部に脛骨モデルを設置したのち,軟部組織部となるシリコーン樹脂を注型した。
(4)トルク制御は複数の制御方式を試行し,このモデルシステムに最適なハードウェア,ソフトウェア,アルゴリズムを構築する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

(1)患肢の生態計測が不可能な状況であるため,患指の状態を熟知した理学療法士が被験者となり,角度-関節インピーダンスの計測・解析を試みた.
また,被験者謝金として計上した予算を計測装置に流用し,当初の予定よりも精度の高い装置を作成した.装置は関節インピーダンスの計測時に下肢重量の影響を除去するために水平方向に運動面を限定することとし、水平多関節アーム構造とした。下肢の大腿部と下腿部を保持する大腿アームと下腿アーム及びこれらを結合する2軸リンクと,下腿アーム部にスライドレールを配した。この2軸リンクとスライドレール機構により、屈曲角度によって回転中心位置が変化する構造の膝関節の動きを妨げない機構を実現した.また、装置の構造強度には下肢重量とその衝撃荷重を考慮し安全率を約10とするなど十分に安全性を考慮した。
(2)は(4)の構築と動作確認,制御試験などで必要であるため,教科書的な既知の膝関節の特性を数値化し多物を用いることで対処している.
(3)下腿部の主軸である脛骨モデルとそれを取り巻く下腿部の形状を模したシリコンによる実態感のあるモデルを作成した.
(4) これまでに製作したサーボモータを利用して制御ソフトウェアの動作確認を行う実験装置を利用し,サーボモータの駆動電流値を指令値として,抵抗トルク値を設定する方式で抵抗トルクを関節角度の関数として発生させるアルゴリズムに基づく制御ソフトウェアを作成し実験を行ったが,他動的な関節駆動実験時の実測トルク値にスパイク状の乱れが発生する現象が見られた.これに対して制御処理に利用していたノートPCをマイコンボードに置換し,調整することで制御周期の高速化(16Hzから90Hz)を達成し,乱れを改善させることができた.また以下の内容で日本機械第31回バイオフロンティア講演会において報告した.

今後の研究の推進方策

(1) 患肢の状態を熟知した理学療法士が被験者となり,角度-関節インピーダンスの計測を行なっており,今後は意図的に疾病や障害を有する膝関節の計測値から患肢モデルの制御で使用される指令値の種類を増やしていく.
(2)当初予定された多くに被験者からの測定値を解析して,より患肢に近似した指令値を生成する計画は断念せざるを得ないが,以下(3)(4)で構築する患指モデルのハードウェア,ソフトウェア,アルゴリズムは将来的に病院等の状況が落ち着いて多くに被験者からの測定値を得ることができるようになった場合,活用可能なものであると言える.
(3)下腿部の骨軟部組織による実体感のある患肢モデルを作成した.このモデルを膝関節の特性を再現するモーターに接合し,各種の疾病・障害を模した抵抗感が再現される.これが理学療法士の実習教育に活用可能である.
(4)ソフトウェア,アルゴリズムの構築は最終段階である.具体的には,(1)で計測された複数の典型的な膝関節の角度-関節インピーダンス特性について分類し,それらの分類に応じて関数化することで,種々の疾病・障害に応じた抵抗感をそれぞれ比較的少数のパラメータの調整により再現可能とするアルゴリズムを構築し,それらのアルゴリズムの切替・調整を簡便な操作で実現できるソフトウェアを作成する.

次年度使用額が生じた理由

2019年度に続いて新型コロナウィルス感染症予防の観点から患者に対して,さらに病院内での計測実験を行うことは不可能な状況であり,予定された人件費,被験者への謝金が不要となった.
また,学術大会等が中止あるいはWEB開催となり,計上された出張費用等も支出不要となった.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 徒手ROM訓練支援システム用模擬脚のための膝関節受動抵抗の再現2020

    • 著者名/発表者名
      平野靖治
    • 学会等名
      日本機械学会第31回バイオフロンティア講演会

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公開日: 2021-12-27  

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