当該年度は,昨年度に引き続き,①推定式の改良と,②Vitro 評価系と生体計測システムのプロトタイプを用いた検証実験,③被験者の協力による検証実験,および④患者の協力による臨床調査,の4点について予定通りに検討を行った.新型コロナウィルスの影響により,特に④の臨床調査については結果として見送ることになったが,その他は概ね計画通り実施し,結果を得ることができた. まず,開発した推定式と非接触による計測システムが,一般的な至適血圧範囲において有効であることは前年度に既に確認できていた.一方で,圧力の極端に低い場合と高い場合のズレが課題として残されていたことから,この課題を修正するため推定式の改良を行った.また,既に開発したVitro評価系ブタの頸動脈を用いたEx-vivo実験装置とレーダーセンサを含む生体計測システムのプロトタイプを用いて修正した推定式の評価実験を繰り返し実施した. 結果として,至適血圧の範囲以外においても,ある程度推定可能である示唆を得ることができた.さらに,被験者の協力による検証実験についても,血圧変動生じさせるための2種類の模擬的負荷を与えた実験を継続して実施した.被験者は学生であることから若い健常者のため,至適血圧範囲外への血圧の誘導に対して回復が早く検証が難しい状態であったが,結果からはEx-vivo評価系と同様の示唆が得られた.限定された成果ではあるが,推定式および推定システムが有効であることを確認した.
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