研究課題/領域番号 |
19K12885
|
研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
堀 勝博 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (90261388)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 電動車いす / 先導ロボット / 安全 / 誘導 / 介護者 / 支援システム |
研究実績の概要 |
2020年度は,先導ロボットシステムの理論的検討に関する実績として,これまでの研究成果を雑誌論文で発表するとともに,より実環境に近い環境での使用を想定した検討を行った。具体的には,2019年度に想定した通行人の移動速度が一定の条件から,通行人の移動速度・方向が変動する場合を考慮して,通行人が多様な方向から接近する環境において,先導ロボットを適切に動作させるための動作アルゴリズムについて検討した。従来の先導ロボットの動作アルゴリズムは,初期条件によって先導ロボットが通行人と衝突してしまう場合があり,その原因として障害物回避動作を停止せずに実行するため,通行人の速度に対してロボットの回避動作が間に合わない場合があることが分かった。そこで,停止動作を明示的に取り入れた新しい動作アルゴリズムを開発した。新しい動作アルゴリズムは,目的地へ向かう動作と通行人を検知し回避する動作の二つの要素から構成した。まず目的へ向かう動作では,目的地へ一定速度で移動する。つぎに通行人を検知し回避する動作では,設定した危険領域内に通行人が接近して進入した場合はその場で停止し,危険領域内に通行人がいなくなった場合に再発進するように設計した。新アルゴリズムの有効性を検証するために,通行人が複数の移動方向から接近する環境における動作シミュレーションを行い,合わせて同環境に旧アルゴリズムを適用した場合の比較検証を行った。その結果,新アルゴリズムを導入することにより,旧アルゴリズムで衝突してしまう場合でも衝突を回避し安全性が向上することが確認できた。また,先導ロボットシステムの実験的検討では,初めから人が搭乗する電動車いすで実験を行うことは安全面で問題があるため,まず複数のロボット同士で追従制御を行う予備実験を行うことを計画し,そのためのロボット実機製作を進め,ハードウェア面の製作を完了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先導ロボットシステムの理論的検討として,移動方向・速度変動する条件に適合する新しい動作アルゴリズムを開発した。動作シミュレーションの結果,新しい動作アルゴリズムにおける先導ロボットの障害物回避動作を適切に設定することで安全性が向上し,より実環境に近い環境における先導ロボットシステムの有効性を確認できた。また並行して,実験的検討を行うための先導ロボットシステム実機開発を進めたが,実機完成には至っておらず,実験的検討に関しては,当初の計画よりやや遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
先導ロボットシステムの理論的検討については,実環境での使用を想定した条件下での検討を進めるとともに,実験的検討を行うための実機開発を完了して,本システムを実機へ実装し,実システムを用いた検討に着手する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの執行状況であったが,物品費の購入価格が当初見積額より安価であったため,次年度使用額が生じた。次年度使用額は,先導ロボット実機開発・整備のため部品費等として充当する予定である。
|