研究課題/領域番号 |
19K12889
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
川上 健二 大分大学, 福祉健康科学部, 助教 (00756380)
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研究分担者 |
阿南 雅也 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (10517080)
松下 光次郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30531793)
菅田 陽怜 大分大学, 福祉健康科学部, 助教 (30721500)
河上 敬介 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (60195047)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 転倒 / 姿勢調整 / 脳-運動連関 / 筋電図 / 脳波 / 重心移動 |
研究実績の概要 |
本研究は、我が国の高齢者対策としての予防生活支援である「転倒」の原因に着目し、転倒のリスクを未然に検知することを目的としている。現在、転倒リスクの検出に向けたと取り組みは積極的に行われているが、未だ検出には至っていない。ヒトの姿勢調整や運動は、脳と運動が相互に協調し合う閉ループ構造によりリアルタイムに制御されている。そのため本研究では、開眼、閉眼、バーチャルリアリティー(:VR)を用いた視覚的情報入力の有無における立位保持時の筋電図と脳波および重心動揺という生体信号情報を統合し、立位姿勢における姿勢調整の脳-運動連関を明らかにする。さらに、健常若年群と健常および虚弱高齢者群のデータを比較することで転倒しやすい状態であるかどうかを示すバイオマーカーの特定を試みる。 研究課題は、静的な脳-運動連関をみるための開眼および閉眼立位保持課題と動的な脳-運動連関をみるためのVRゴーグルを用いた不随的制御が必要な歩行体験課題とした。すべての課題の立位保持時間は5分間とし、筋電図と脳波および重心動揺を同時に計測した。脳波は運動野を中心とした4チャンネル、筋電は姿勢保持に関連する筋である前脛骨筋とヒラメ筋とし、重心動揺は足圧中心の前後方向移動を示すy軸を測定することした。現在、45名の若年者と19名の高齢者の測定が終了している状況である。若年者の結果では、全被験者で筋電または脳波と同期性のある重心移動の位相は0.2~0.6Hzであった。筋電と重心移動では、前脛骨筋とヒラメ筋ともVR課題で閉眼課題と比較して高い周波数帯域で同期生が認められた。脳波と重心移動では、α帯域に注目するとVR課題で他の2つの課題と比較するとα帯域の同期性が低く、30Hz以上の帯域で同期性が認められた。高齢者の結果については、被検者数を増やし解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
若年者については、まだ計測予定者数の50名には達していなが、おおむね順調に計測出来ている。高齢者については、10月より本実験を開始する予定であったが、実験環境の構築、具体的には地域の施設(公民館や各地域の庁舎など)環境が変わっても安定したデータが採取できる脳機能・運動機能計測同期システム作成に時間を要した。また、対象地域および被検者の選定にも時間を要したため、実験開始が年明けの1月となった。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大により、令和2年3月以降の計測がすべて中止となったため当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和1年度に引き続き、若年者群を測定し被験者総数50名を確保する。同時に、新型コロナウイルス感染症の拡大状況にもよるが、再度、対象地域との調整および被検者の選定を行い、高齢者群の被験者の測定を再開する。万が一、新型コロナウイルス感染症により、現在の対象地域での測定が困難になることも予想されるため、新しい対象地域の獲得を目指す。 測定の継続と並行して、採取したデータの解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、オンラインでの打ち合わせを実施したことにより減額となっている。 人件費・謝金が減額となった要因は、実験環境構築に時間を要し計測開始時期か遅れたこと、また新型コロナウイルス感染症により地域での高齢者群の測定が実施不可となったためである。その他については、地域での計測時の被検者の交通費として計上していたが、本年度は使用しなかったことが挙げられる。 次年度は、主に地域での高齢者の計測数を獲得するための人件費および謝金の使用が増大すると考えている。しかし、現状を考慮すると、本研究は高齢者を対象としているため、新型コロナウイルス感染症の予防対策として、3蜜を避けるために被検者の交通費や感染予防のためにアルコール洗浄液等の備品の支出が増大する予想される。
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