研究実績の概要 |
呼吸器疾患には拘束性,閉塞性,混合性があり,閉塞性疾患の代表的なものに,慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある.呼吸器疾患の検査方法としては,呼吸機能検査(スパイロメトリー)や画像診断装置による検査がある.COPDは吸気,呼気の異常に特徴があるため,スパイロメトリーにより診断することができるが,この検査は,「大きく息を吸って一気に吐き出す」ことが必要であり,呼吸器疾患患者にとっては負担が大きいという問題がある.このため,この疾患の非侵襲的かつ在宅使用できる診断システムの構築が強く求められている. 本研究の目的は,疾患の早期発見や在宅医療支援を行うことができる「非侵襲で簡便なCOPD診断支援システム」の構築である. 本研究では,深度センサを用いて外部から胸部を撮影し,形状,距離,および動きの情報を取得し、同時に, 3軸加速度センサで加速度情報を計測する.これらの情報を融合し肺の形状と換気量の関係を解明することで,非侵襲で簡便なCOPD診断支援システム構築を目指している. 健康な成人男性に対して,3軸加速度センサと深度センサを用いて同時に呼吸時のデータを取得した.同時期にスパイロメータを用いて肺活量と一回換気量を測定し、これを正解データとした.これかの関係性から、一回換気量を求める手法について論文に投稿した.疾患のある患者さんなどの被験者を増やして検討する予定であったが,COVID-19の影響でできなかった.このため,人工呼吸器と肺シミュレータを用いた実験環境を構築し,拘束性疾患を模すなど,様々な条件で実験を行った.現在これらのデータを解析しており、論文にまとめる予定である.
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