研究課題/領域番号 |
19K12901
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
梶川 伸哉 東北学院大学, 工学部, 教授 (80290691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 舌運動トレーニング / 粘性負荷 |
研究実績の概要 |
前年度に製作した触力覚提示機能を有するジョイスティック型舌用操作器を用いた舌の運動特性の解析と運動トレーニングを実施した。操作器には変位と速度に比例する抵抗力が課されるようインピーダンス制御を適用した。まず、口腔外の舌の運動特性と負荷の影響を把握するため、円、三角形、四角形の線画をトレースする実験を行った。その結果、三角形斜辺やコーナー付近でのトレース性能が低下することが確認された。これらの領域では、舌の位置と姿勢の制御を組み合わせる必要があり、外舌筋(位置調整)と内舌筋(姿勢調整)の協調が重要であることが考察された。また、ある程度の粘性負荷を与えた方が操作が安定し、トレース性能が向上することも確認できた。 次に、線画トレースを継続するトレーニングによる舌の運動機能の向上について検証を行った。4週間にわたる継続実験により、舌の可動域と舌力が増大することが確認できた。 これまでの舌運動トレーニングは、舌の可動域の拡大や舌圧の増加それぞれを個別に目的としたものであり、トレーニング自体も舌の単純往復運動や力出力のみであった。それに対して今回行ったトレーニングは、負荷を伴う広範囲の舌運動を必要とするものであり、結果として、舌の可動域と力の双方を増進させ得る非常に有効なものであることが確認された。 また、粘性負荷は、自分の能力に応じた速度でスティック操作を行うことにより、各自に適した負荷を課すことが可能となり、個々人の能力や体調に応じてトレーニングの継続性が確保される点もメリットである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌の可動域と力の双方を同時に向上させ得るトレーニングシステムの構築ができたと考えられる。その中で、操作抵抗をインピーダンス制御を用いて与えることにより、個人に適した負荷が与えられることが確認できた。また、粘性抵抗負荷を与えることが、操作性の向上および、個人の能力に応じた安全で継続性の高いトレーニングを実現しうることも確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
被験者を増やしトレーニング効果についてさらなる検証を行う予定である。また、舌の位置や動きに応じて負荷をオンラインで調整することによる、操作器としての性能向上の可能性についても検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の広がりにより、予定していた学会発表および学外での実験が中止になったため、旅費の未使用分が大きい。今年度は、研究成果の発表を行う費用として使用する予定である。また、開発したトレーニングシステムの改良にも充当したい。
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