本年度は以下3点を計画した。(1)本研究分担者の協力を得て質的言語能力の側面から自閉スペクトラム症児を捉える新たな評価ツールを開発する。(2)本研究協力者の協力を得て自閉スペクトラム症児のプロソディ異常に関する一連の評価手順を自動化し、独自にアプリケーションソフト等を開発する。(3)本研究成果を学会発表、論文、ホームページ上で発信する。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、前々年度に計画していた音声データの収集が当初の予定通りに進まなかったために研究全体の進行速度がが停滞した。本年度も可能な限り音声データの収集および分析、プロソディ異常の定量化に努力を重ねた。また、この停滞を取り戻すべく、本研究分担者および本研究協力者とのオンライン打ち合わせを重ねた。最適な条件下でのデータを検証し、本研究協力者と共に短期間で音声データを収集できるよう準備を進めた。音声データの収集が可能な状況となった場合、自閉スペクトラム症児や保護者が新型コロナウイルス感染への危惧を払拭するよう、きめ細やかな配慮について議論した。これらのことは新型コロナウイルス感染への危惧の配慮だけでなく、自閉スペクトラム症の特徴への共通理解する機会となった。また、この意見交換はデータ収集後における各要素の程度やパターンを分析する際の重要な参考となった。このような取り組みの中で、関連する研究内容について紀要を通じて研究成果を公表した。そして、これらの研究成果は自閉スペクトラム症児の診断ツールを開発の示唆となった。
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