研究課題/領域番号 |
19K12914
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
沓澤 智子 東海大学, 医学部, 教授 (10183310)
|
研究分担者 |
秋月 有紀 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (00378928)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 皮膚色 / 分光測色計 / 経カテーテル大動脈弁留置術 / ショック / 血圧 / ヘモグロビン |
研究実績の概要 |
①TAVIを受けた患者の皮膚色の経過とその関連因子 2020年度に引き続き、大動脈弁狭窄症のため経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)を受ける患者の皮膚色の測定を2名に行い、計11名の測定が完了した。患者の年齢は82.4±5.3歳(男3名、女8名)。皮膚色の解析は、TAVI前(術前)とTAVI後6時間(術後6)、18時間(術後18)、72時間(術後72)の測定値を用いて検討した。前額の皮膚色は、術前L*60.64±4.76、a* 10.42±1.81、b* 18.39±1.42で、術後6と術後18で有意にL*の上昇を認め、術後72では、術後6と18に比べ有意にL*の低下を認めた。a*、b*には有意な変化を認めなかった。このことは、術後18時間くらいまで、患者の顔色が白っぽくなり、術後72時間では、元に戻ることを示している。 血圧は、平均血圧MAPが術後6に有意に低下していた。しかし、全測定値においてMAPは、L*、a*、b*と相関を示さなかった。採血データでは、ヘモグロビンHb、ヘマトクリットHt、アルブミンが、術前に比べ、術直後、術後18,72で有意に低下していた。Hb,Htは、すべての測定で、L*と負の相関をみとめ、Hb, Htが低下すると明度が下がる(顔色が白っぽくなる)ことが示された。a*とは相関を認めなかった。 ②ショック患者の皮膚色の変化 ショック患者の皮膚色は2020~2021年で9名の患者の測定を行った。測定部位は①と同様に、前腕と前額である。ショックで入室時の皮膚色と24時間以内、24時間以降の3回測定し、視診で顔色の改善が認められた患者(4名、計5回))では、前額部のL*の低下、a*の上昇が認められ、逆に悪化した患者(2名、計2回)では、L*の上昇、a*の低下が認められた。前腕では、皮膚色と毛細管再充満時間との関連を検討したが、関連は認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020~2021年度は、新型コロナウィルス感染が収束せず、TAVI患者の減少、業務優先の影響で、研究的な測定をICUで施行することができず、計11名の測定を施行した。他施設のICUでショック患者の皮膚色の測定は計9名の測定を行った。データの解析については、分担研究者との対面での検討が十分確保できず、詳細なデータ検討が遅れ気味である。
|
今後の研究の推進方策 |
測定に関しては、2021年度で終了し、データの解析をすすめ、論文としてまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に、研究分担者との研究交流・データ検討会(富山大学・東海大学間)がコロナ禍で対面で行えず、また発表予定学会のオンライン開催などで、研究費を計画通り使用できず、2021年度に繰り越した。2021年度も同様の事態が生じたこと、データ解析が億折れ気味で、論文投稿に至らなかったため、その費用が次年度へ繰り越すこととなった。 2022年度は、成果を英文論文としてまとめ、投稿する計画なので、英文校正費などに研究費を使用する予定である。
|