• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

視覚神経系の時空間応答特性に学んだ小型・リアルタイム手話認識システム

研究課題

研究課題/領域番号 19K12916
研究機関大阪工業大学

研究代表者

奥野 弘嗣  大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (30531587)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードニューロモーフィック / 画像処理 / ロボットビジョン / 手話認識 / 人工知能
研究実績の概要

本研究の目的は,時空間視覚特徴の抽出,及びこの特徴を利用した視覚情報認識を効率よく行っている生体の視覚神経系に学び,手のひらサイズで実時間動作する手話認識システムの開発を行うことである.この目的を実現するため,本年度は(1)生体の一次視覚野の時空間応答特性に学んだ特徴量抽出のシミュレーションと,(2)特徴情報の時空間パターンからパターン分類可能な人工知能のシミュレーションを行った.

(1)では,一次視覚野の時空間応答特性を元に作られたモデル(N. C. Rust, et al., Neuron, 2005)を,Pythonを用いてプログラミングし,様々な視覚入力に対する応答のシミュレーションをおこなった.入力信号として利用したのは,45度ごと8方位の輪郭,並びにサイン波グレーティングである.シミュレーションの結果は,本モデルが優れた運動方向選択性を有していることを示し,動きパターンを分類する人工知能に入力する信号を生成するための前処理器として適していることを示した.

(2)では,(1)の前処理により予め特徴抽出が行われている情報を利用することから,現在広く利用されている深層ニューラルネットワーク (NN) は必要ないと判断し,層が浅く計算コストの低い再帰的NNである,echo state network (ESN)を利用した.ESNのプログラミングには,Pythonを用いた.プログラムしたESNに,ヒトの運動(歩く,走る,飛ぶ,等)の識別課題を行わせた.前処理を行った入力と,行わなかった入力をESNに与え,識別精度を比較した.ここで用いた前処理は,(1)がまだ完了していないことから,(1)のものではなく,昆虫の視覚神経系の応答に学んだ視覚運動特徴抽出モデルであるEMDによる処理である.本実験の結果は,前処理済みの信号に対して,ESNが高い精度で識別課題を行えることを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

時空間特徴量の抽出方法の検討,並びに特徴情報の時空間パターンを分類するための人工知能の開発が共に一定の成果を得ているため,概ね順調といえる.

今後の研究の推進方策

手話認識等,動き認識に有効な時空間特徴量抽出のアルゴリズムを,生体視覚野に学びながら確立していくとともに,このアルゴリズムの回路化を検討する.また,特徴量抽出済みの信号から,効率よく時系列データの識別が行える軽量な人工知能の開発を行う.

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスの感染拡大で出張ができなくなり,主に旅費に残額が生じた。繰越金は,人工知能開発を加速するための,高性能コンピュータ等の購入に利用する.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] FPGA implementation of an algorithm that enables color constancy2020

    • 著者名/発表者名
      Kento Misaka and Hirotsugu Okuno
    • 雑誌名

      Proceedings of the 2020 IEEE/SICE International Symposium on System Integration

      巻: NA ページ: 991-995

    • DOI

      https://doi.org/10.1109/SII46433.2020.9025949

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 照明色・強度に影響されない色情報符号化アルゴリズムのFPGA実装2020

    • 著者名/発表者名
      三阪健人,奥野弘嗣
    • 雑誌名

      ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2019 講演論文集

      巻: NA ページ: 2P1-I05(1)-(4)

  • [雑誌論文] 色恒常性カメラ画像を用いた物体識別2020

    • 著者名/発表者名
      田中靖浩,西口敏司,三阪健人,奥野弘嗣
    • 雑誌名

      画像の認識・理解シンポジウム 2019 Extended Abstract

      巻: NA ページ: (DS-11)1-4

  • [雑誌論文] ガウシアンフィルタを活用した効率的なオプティカルフロー検出アルゴリズム2020

    • 著者名/発表者名
      黒瀬大輝,奥野弘嗣
    • 雑誌名

      画像の認識・理解シンポジウム 2019 Extended Abstract

      巻: NA ページ: (DS-13)1-4

  • [雑誌論文] 小脳スパイキングニューラルネットワークモデルのFPGA実装2020

    • 著者名/発表者名
      進士裕介,奥野弘嗣,平田 豊
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: 119 ページ: 7-12

  • [学会発表] FPGA implementation of an algorithm that enables color constancy2020

    • 著者名/発表者名
      Kento Misaka and Hirotsugu Okuno
    • 学会等名
      2020 IEEE/SICE International Symposium on System Integration
    • 国際学会
  • [学会発表] 照明色・強度に影響されない色情報符号化アルゴリズムのFPGA実装2019

    • 著者名/発表者名
      三阪健人,奥野弘嗣
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2019
  • [学会発表] 色恒常性カメラ画像を用いた物体識別2019

    • 著者名/発表者名
      田中靖浩,西口敏司,三阪健人,奥野弘嗣
    • 学会等名
      画像の認識・理解シンポジウム 2019
  • [学会発表] ガウシアンフィルタを活用した効率的なオプティカルフロー検出アルゴリズム2019

    • 著者名/発表者名
      黒瀬大輝,奥野弘嗣
    • 学会等名
      画像の認識・理解シンポジウム 2019
  • [学会発表] 小脳スパイキングニューラルネットワークモデルのFPGA実装2019

    • 著者名/発表者名
      進士裕介,奥野弘嗣,平田 豊
    • 学会等名
      電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会
  • [学会発表] FPGA-based robotic vision systems inspired by the retina and the visual cortex2019

    • 著者名/発表者名
      Hirotsugu Okuno
    • 学会等名
      International Symposium on Neuromorphic and Non-linear Engineering
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 生体視覚神経系に学んだロボットビジョン開発2019

    • 著者名/発表者名
      奥野弘嗣
    • 学会等名
      国際画像機器展2019 国際画像セミナー
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi