本研究の目的は、将来的な転倒の発生件数の減少を目指し、日常生活中の歩行動作全体としての行動やその時の生理指標の再現性(歩行の長期的な再現性)から、個々人の歩行中の転倒リスクを評価・フィードバックできる仕組みを開発することである。本年度は、最終年度として、掲げた2つの研究課題(課題1:日常生活中の歩行動作や行動、その時の生理指標と転倒との関連性の解明、課題2:転倒と関連する指標を用いて、転倒リスク等を簡易センサシステムで評価・フィードバックできる技術の開発)の実施と、全体のまとめ、および、今後開発した技術を社会実装するための準備に取り組んだ。 課題1については、これまで計測した日常生活中の歩行データについて、中長期的なばらつきの観点から分析した。その結果、歩く時間帯によって特性が異なることが確認された。 課題2については、昨年度までに開発した、日常生活中の行動の文脈を取得するシステムを併用して歩行動作を計測し、その時の感情状態と歩行特徴との間に関連があることを確認した。本研究の結果、日常生活中の歩行動作特性は、その時々の感情状態と関連する可能性が示唆された。 最後に、ここまで得られた知見は、スマートフォンとスマートウォッチのみでも計測できるようまとめ、将来的に社会実装できるような準備を行った。
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