研究課題/領域番号 |
19K12927
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
鈴木 雄大 中京大学, 教養教育研究院, 准教授 (20794928)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 因果 / 傾向性 / 行為 / 身体性 / 傾向性主義 |
研究実績の概要 |
2020年度は、とりわけ因果性に関する哲学的研究を行った。特にMumford & Anjumらの傾向性主義を中心的に検討した。因果性に関する標準的な見解では、原因と結果は別々の互いに独立の出来事であるとされるのに対し、傾向性主義は因果性を傾向性の発現として捉えることで、原因と結果の関係を連続的に捉える。この考え方は、私の「意図と行為は別々の互いに独立的なものではない」という考えを大きくサポートするものとなる。他の傾向性主義者に対する独自の論点としては、傾向性とその発現の関係を「同一性」という非常に強い関係として理解する可能性を見出している点を挙げることができる。 因果性に関する傾向性主義はここ10年くらいの間に盛り上がりを見せてきた極めて新しい立場であり、まだ研究の萌芽段階にある。一年かけておおよその議論状況を把握することができた。 その成果は、日本哲学会において「因果パワー説と行為論: 傾向性の発現としての行為」という題で学会発表がなされ、また『科学哲学』に掲載された論文「新しい行為論:目的論、選言説、因果的傾向性主義」の一部の内容として反映された。 さらに、因果性だけでなく、身体性に関する研究も進め、スポーツ学研究者らと共にThe 2020 Yokohama Sport Conferenceにてワークショップを行い、私は「The Embodiment of Mind and Its Philosophical Implications to Our Diversity and Inclusion」の題で発表した。 年度末には国際誌投稿用の英語論文を書き始め、研究会等で検討してもらい、ブラッシュアップした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
因果性に関する研究は昨年度新しく見出された研究の方向性であり、本年度はそれを本格的に進めることができた。学会発表や論文執筆も精力的に行うことができた。 他方で、新型コロナウイルスの影響で、当初予定していた在外研究を行えなかったのは残念である。状況を見ながら次年度以降に実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
続けて、因果性の傾向性主義に関する研究を進めていきたい。 また現在執筆中の英語論文を完成させ、投稿する。 また次年度中に精力的にもう一本の英語論文を執筆し、これもまた国際雑誌に投稿する。 海外での在外研究に関しては、新型コロナウイルスを巡る状況を注視しつつ、遂行していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響のため、予定していた在外研究が行えなかったため。 次年度は、感染状況を注視しつつ、可能であれば在外研究を行う。
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