研究課題/領域番号 |
19K12931
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
小手川 正二郎 國學院大學, 文学部, 准教授 (30728142)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 哲学 / 倫理学 / レヴィナス / 現象学 / ジェンダー / 家族 / フェミニズム / フェミニスト現象学 |
研究実績の概要 |
今年度は、レヴィナスの性差の現象学についての内在的読解を進めると共に、その成果をフェミニスト現象学およびフェミニスト哲学の文脈の中で評価するために、フェミニスト現象学とフェミニスト哲学に関する研究を進めた。 フェミニスト現象学については、その方法論を用いて、男性性と人種について考察した成果を公刊された『フェミニスト現象学入門』のなかの2つの章として発表した。またフェミニスト現象学の方法論に向けられてきた様々な批判、とりわけ社会構築主義的な立場からの批判に対する可能な応答について、日本現象学会のシンポジウム「フェミニスト現象学は何をもたらしうるか」の提題という形で発表した。 フェミニスト哲学については、ナンシー・バウアー『ボーヴォワール:哲学とフェミニズム』の整理に基づいて、フェミニスト哲学の様々なあり方について検討するとともに、レヴィナスの性差の現象学およびフェミニスト現象学の位置づけについて研究した。その成果の一部は、哲学若手研究者フォーラムの「フェミニズムの哲学」を主題としたレクチャーで発表した。このレクチャーのもう一人の講演者であった田中東子氏、特定質問者を務めて下さった筒井晴香氏から、今後の研究にとって極めて有益な情報や視点を得られた。 家族の現象学については、レヴィナスの家族をめぐる議論の再構成を進めるとともに、現代の家族倫理学や家族社会学についての成果を収集し、検討することに多くの時間を割いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も新型コロナ感染拡大状況をうけて、海外の学会への参加や発表を断念せざるをえず、海外の知見を取り入れる点については主として文献からの情報収集に限定せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度で、性差の現象学の検討およびその成果の発表はおおむね進められたため、これまでの研究を踏まえた家族の現象学の検討およびその成果の発表にも取り組む予定である。ただし、国際学会への参加は当面難しい状況が続くと思われるため、当面は国内学会やオンライン学会などへの参加・発表を通して、情報の収集や成果の発表に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大をうけて、海外の国際学会への参加をすることができなくなり、当初予定していた旅費支出分の再検討を迫られた。2021年度は当該額を国内学会への旅費やオンライン会議の準備のための諸々の経費にあてる予定である。
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