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2022 年度 実績報告書

西欧自然哲学の成立・展開にたいするイスラーム哲学の影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K12934
研究機関東洋大学

研究代表者

高橋 厚 (タカハシアダム)  東洋大学, 文学部, 助教 (70817395)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード自然哲学 / アヴェロエス / イブン・ルシュド / トマス・アクィナス / コスモロジー / 神的摂理
研究実績の概要

2022年度は、単著『哲学者たちの天球 スコラ自然哲学の形成と展開』(名古屋大学出版会)を出版することで、この科研費の助成期間の研究を総括することができた。この単著では、主に十二世紀から十六世紀までの宇宙論や自然理解がどのように古代ギリシアの哲学者アリストテレスの著作の注釈史の形で成立していたのかを明らかにした。特に、十二世紀のアラビアの哲学者アヴェロエス(イブン・ルシュド)の思想がどのような問題を西欧にもたらしたのかを研究の焦点とした。
アヴェロエスの思想というと、従来の研究では、彼が唱えたとされる「知性単一説」のみが注目されがちだった。この「知性単一説」とは、人間の思考の能力である「知性」が全人類において数的に一つであるという説である。それに対して、『哲学者たちの天球』では、彼の宇宙論がキリスト教神学との間に理論的な緊張関係を有していたことを明らかにした。アヴェロエスは、自然世界の秩序の形成という点で天球およびその動的原理である魂が能動的な働きをすると考えていた。このような天球を自然世界の秩序の形成者とする考えは、キリスト教的な創造と救済の神を頂点とする世界統治の体系と異なるが故に、神学者から幾度も批判をされることになった。神的な摂理とコスモロジーとの関係は、これまでの中世自然哲学の研究では十分に考察されてこなかっただけに、この研究の意義は大きいと考えている。
また、2022年度までの4年間において、トマス・アクィナスの『「天界論」註解』におけるアヴェロエス受容にかんする国際会議での発表を実施し、査読論文を出版した。加えて、ジャンドゥンのヨハネスの『「天界論」註解』についても基礎的な研究を行い、さらにアヴェロエスの『天球という実体について』の校訂版の作成にかんしてドイツ・ケルンのトマス研究所でのプロジェクトに参画する計画を進めた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 摂理と天球の魂:トマス・アクィナス『「天界論」註解』とギリシア・アラビアの註解者たち2022

    • 著者名/発表者名
      アダム・タカハシ
    • 雑誌名

      中世思想研究

      巻: 64 ページ: 26-40

    • 査読あり
  • [学会発表] 外なる危機から内なる危機へ:アウグスティヌス『神の国』における人間理解2022

    • 著者名/発表者名
      アダム・タカハシ
    • 学会等名
      西洋中世学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 神と宇宙の二千年史2022

    • 著者名/発表者名
      アダム・タカハシ
    • 学会等名
      高知工科大学「理工学のフロンティア」
    • 招待講演
  • [図書] 哲学者たちの天球 -スコラ自然哲学の形成と展開 -2022

    • 著者名/発表者名
      アダム・タカハシ
    • 総ページ数
      318
    • 出版者
      名古屋大学出版会
    • ISBN
      9784815811006

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公開日: 2023-12-25  

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