本研究ではこれまでメタ倫理学においてなされてきた自然主義的な提案を検討し、その現状を確認した。その上で、道徳的説明に訴える伝統的な自然主義的な手法の重要さを再確認し、道徳的説明を関連する経験的知見に訴えてより強固に擁護するという「局所主義的な道徳的説明の擁護」という研究手法の着想を得るに至った。この手法はこれまで(自然主義的な提案でありながら)思弁的なものに留まる傾向性のあったメタ倫理学上の自然主義をより自然主義的な説へと向かわせるものである一方で、比較政治学などこれまであまり哲学との接点が指摘されてこなかった分野との横断的な研究をより加速させる可能性を包含するものである。
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