• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

中世ユダヤ教文学におけるキリスト教世界への対抗的言説の複合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K12960
研究機関東京大学

研究代表者

志田 雅宏  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 講師 (10836266)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード宗教史 / ユダヤ教 / キリスト教 / 比較宗教 / 中世 / 宗教論争 / 民間伝承
研究実績の概要

本年度は12世紀の南フランスで書かれたユダヤ人によるキリスト教論駁書についての論文を完成させた。本論文は中世ユダヤ教世界の宗教論争文学の嚆矢をなすものであり、本研究にとってきわめて重要な主題である。また、この論駁書と密接なつながりを持つ14世紀のスペインにおける宗教論争について、国際学会で報告をした。
中世スペインの宗教的寛容をテーマとする英語での講演に対し、本研究のテーマと関連するかたちでのコメントを述べた。この機会において、中世の哲学的な思想文化と、宗教論争という文化のあいだでの、ユダヤ教と他宗教の関係性についての認識の多様性を知ることができた。
また、今年度は西洋中世のユダヤ教文化から現代のユダヤ教を見るという試みもおこなった。具体的には、現代のアメリカにおけるユダヤ教正統派の思想や、中世から現代にかけての中東におけるユダヤ教の伝統や歴史を調査することにより、現代のユダヤ教を歴史的な視座のもとでとらえることができた。
本研究は中世ユダヤ教文学の多様な文献をもちいて、ユダヤ人とキリスト教徒の関係をとらえることを目的とするものであったが、論争文学だけでなく、聖書解釈や年代記、哲学書や神秘主義的文献、民間伝承など幅広く扱うことができた。加えて、ユダヤ教の祈祷書やキリスト教文学を専門的に扱う研究者たちとの交流により、新たな視点や知見を得ることができた。加えて、中世の宗教文化を現代のユダヤ教と関連づけることにより、中世の伝統がどのように解釈されてきたのかをたどることができた点は、当初予定していたものよりも多くの成果を得られることにつながった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 中世西欧のユダヤ教における対キリスト教論争文学の嚆矢―ヨセフ・キムヒ『契約の書』とヤアコヴ・ベン・ルーベン『主の戦い』―2022

    • 著者名/発表者名
      志田雅宏
    • 雑誌名

      西洋中世研究

      巻: 14 ページ: 7-25

  • [学会発表] 中東に残るユダヤ教2022

    • 著者名/発表者名
      志田雅宏
    • 学会等名
      アラブ調査室
    • 招待講演
  • [学会発表] Ibn Gabirol and Nahmanides: A Transmission of Andalusian Tradition (Commentary Lecture)2022

    • 著者名/発表者名
      志田雅宏
    • 学会等名
      同志社大学一神教学際研究センターワークショップ
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Hayyim ibn Musa’s Shield and Spear: A Late Medieval Intellectual Polemic and Its Context2022

    • 著者名/発表者名
      志田雅宏
    • 学会等名
      The 18th World Congress of Jewish Studies
    • 国際学会
  • [学会発表] ソロヴェイチク『ハラハー的人間』―現代ユダヤ教の哲学的探究―2022

    • 著者名/発表者名
      志田雅宏
    • 学会等名
      日本宗教学会第80回学術大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi