研究課題/領域番号 |
19K12966
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤岡 俊博 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90704867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レヴィナス / アウグスティヌス / 利益 / 没利益 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、西洋思想史における「利益」および「没利益」の概念および主題の展開を、おもにエマニュエル・レヴィナスの哲学とマルセル・モースの民族学に焦点を合わせて明らかにすることである。第二年目にあたる本年度は、(1)「利益」および「功利性」にまつわる思想史とレヴィナスの思想との関係をめぐる研究、(2)狭義のレヴィナス研究に寄与しうる研究の二点に大別される研究を実施した。まず(1)について、昨年度におこなったヘーゲルの「利益の狡智」に関する口頭発表を活字化し、あらためて論文として発表した。また、レヴィナスの「享受」論と、アウグスティヌスの「使用」「享受」の概念対の関係をめぐる招待講演をおこなうとともに、講演にもとづいた論文を発表した。この研究は「功利性」の根底にある「使用」概念の思想史的文脈を明らかにするものである。同論文では、『キリスト教の教え』や『神の国』などのアウグスティヌスの著作における両概念の布置を確認したのち、ハイデガーのアウグスティヌス講義と『存在と時間』で両概念がどのように扱われているのかを明らかにしたうえで、アーレントのアウグスティヌス論のうちに、レヴィナスとアウグスティヌスとを結びつけうる視座を見出すに至った。次に(2)に関しては、レヴィナスの主著『全体性と無限』の新訳を刊行したほか、「下降的超越」の概念に着目することでレヴィナスの思想とD.H.ロレンスの文学との近接性を明らかにした論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果を3件の学術論文および1件の講演の形で発表することができており、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き研究を実施し、特に『社会学年報』グループにおける経済思想・社会思想の研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響により、国内外での研究旅費の支出がなかったため。
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