研究課題/領域番号 |
19K12967
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
久山 雄甫 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70723378)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲーテ / ガイスト / 生命史 / フンボルト / 世界文学 / カイザーリンク |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルスによる感染症の感染拡大のため、大幅な研究計画の変更を強いられた。年度の前半に予定されていたコロンビア大学(アメリカ)での研究滞在は不可となり、また夏のパレルモ(イタリア)での国際独文学会も延期となった。このため神戸にとどまり、これまでの研究成果の総まとめをすることにした。その成果が長尺の論文「ゲーテにおけるガイスト概念――永遠、時間、メタモルフォーゼ」である。これは複数の既出論文に大幅な加筆・修正を行ったうえで新たな章を加えたものであり、この論文によって2021年3月に京都大学博士(人間・環境学)の学位を得た。 この博士論文執筆によって、本科研の当初の計画にはなかった新しい見通しが得られることとなった。特に「生命史」と「余白」の概念をより丹念に検討することで、ゲーテの思想世界を、これまでにない視角から明らかにできると思われる。これらのテーマ系を本科研課題との関連からさらに考察し、博士論文を増補して、最終年度までには単著として出版する計画である。すでに出版社ともコンタクトをとっている。 上記の博士論文に加えて、今年度は、ゲーテが唱えた世界文学の理念に関する英語論文を発表した(2020年度刊行)ほか、20世紀初頭の哲学者ヘルマン・カイザーリンクの著作に見られるゲーテとの関連についてもドイツ語の論文集に寄稿した(受理済、刊行は2021年度)。ゲーテにおけるガイスト概念を考察する上で重要なアレクサンダー・フォン・フンボルトについても翻訳および研究を進めている(未刊)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた在外研究はできなかったが、これまでの研究成果を博士論文としてまとめることで、当初の計画にはなかった独自の視角を獲得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
延期となった在外研究がいつ再開できるか(あるいは中止になるか)が未定であるため、研究計画を確定することはできないが、いずれにせよ、上記のように「生命史」と「余白」の概念をより丹念に検討することで博士論文を増補し、最終年度までには単著として出版する計画である。 2021年度の夏には、昨年より延期となった国際独文学会がオンラインで開催されるため、ゲーテの『メルヒェン』について研究発表を行う。 その他、国内外の研究者とオンラインでのやりとりを継続し、可能な限り当初の研究計画に支障がないよう努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによる感染症の感染拡大のため、予定されていた海外出張(アメリカおよびイタリア)が取りやめになった。このことで次年度使用額が生じたが、この予算については、海外渡航がふたたび可能になった時点で、必要に応じた海外出張のために使用する予定である。
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備考 |
博士論文「ゲーテにおけるガイスト概念――永遠、時間、メタモルフォーゼ」で京都大学博士号(人間・環境学)を得た。
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