ゲーテのガイスト概念については世界的にも先行研究が少なく、本科研の成果をなす日英独語での論文および口頭発表は好意的な反響を得た。なお、これら諸概念と東アジア思想史における「気」概念との類似性についても、本科研では今後の研究の種を蒔くことができた。また本科研をひとつの基盤として創出された新学術領域「雰囲気学」は、思想史研究を分野横断的に展開させるプラットフォームとなるべきものであり、本科研の後継課題では、ゲーテのテキストに含まれていた雰囲気をめぐる知見の萌芽を、倫理学、芸術学、地理学などの諸分野との協働により、社会実装をも視野に入れた現代的視点から開花させたい。
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