研究課題/領域番号 |
19K12971
|
研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
村瀬 天出夫 聖学院大学, 人文学部, 准教授 (40768503)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | パラケルスス / パラケルスス主義 / 偽文書 |
研究実績の概要 |
研究題目である「パラケルスス主義と偽パラケルスス文書」について、本年度は特に偽パラケルスス文書群の思想的特徴としてのルネサンス・プラトン主義的傾向に焦点をあて、パラケルスス本人の思想との相違、ならびに死後のパラケルスス主義者との連関を明らかにした。これについて2021年9月の新プラトン主義学会の大会(オンライン)で報告を行った。 また、昨年度から引き続いて、偽パラケルスス文書『De tinctura physicorum』(医師たちのティンクトゥーアについて)に焦点をあて、これと真正文書(『Liber de nymphis』[ニンフの書])との比較を進め、こららが混淆していく過程を16世紀後半から17世紀初頭にかけて跡づける作業を進めた。その結果を国際会議(チェコ、オロモウツで開催予定)で報告する計画であったが、今般の新型感染症による影響のため会議が延期となり、公開するに至らなかった。 なお、2021年5月には本研究題目の一部をもとにした辞典項目1点が日本科学史学会編『科学史事典』(丸善出版)に掲載・出版された(分担執筆「医化学の出現:錬金術と医学の融合」138-141頁)。 新型感染症の流行とそれに伴う参加予定の学会の中止・延期のため、2022年2月に補助事業期間延長承認申請書を提出し、同年3月に承認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度から引き続き新型感染症の世界的拡大の影響をうけ、予定されていた国内外の会議等での研究発表が延期となり、また所属機関(大学)においては感染症対策の立案・運用・改善、ならびにニューノーマルにおける新たな対面授業形態の導入・運用に追われたことが理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度から進めてきた重要著作群にかんする分析を踏まえて論文の執筆・投稿・刊行を進めていく。論文執筆と並行して、秋期から春期にかけて国内外での研究報告を計画している(チェコ・オロモウツでの国際シンポジウム、京都大学人文科学研究所でのワークショップなど。 アウトプットとしては以下の計画が進行中であり、これらを引き続き進めていく。論文「偽パラケルスス文書:近世のパラケルスス主義と反パラケルスス主義における受容」、論文「パラケルスス文書における救済史」(国際シンポジウム論文集)、論文「The German Paracelsian Paul Linck and his Eschatology」(国際シンポジウム論文集)、翻訳と解題「パラケルスス:ニンフについての書」(工作舎)、事典項目『ドイツ哲学・思想事典』(ミネルヴァ書房)。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)予定されていた国外の学術会議が延期となったため、また対面による開催が予定されていた国内会議がオンライン開催へ変更になったため、旅費予算が執行されなかったこと、ならびに本年度に購入しようと計画していた物品が購入できなかったことが主な理由である。 (使用計画)延期となった学術会議が次年度の開催予定(調整中)のため、本年度使用されなかった旅費予算を用いることとし、本年度に購入しようと計画していた物品も次年度に購入する。
|