研究課題/領域番号 |
19K12971
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
村瀬 天出夫 聖学院大学, 人文学部, 准教授 (40768503)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パラケルスス主義 / 近世 / ドイツ語圏 / 偽書 / 終末論 / パラケルスス |
研究成果の概要 |
本研究は、科学革命の潮流と宗教改革の潮流が交差する初期近代の「パラケルスス主義」と呼ばれる思想運動について、宗教的な特徴、およびこの運動における偽書群(偽パラケルスス文書)の重要性に光をあてた。偽文書の歴史的な影響を精確に定めようとする本研究のアプローチは、これまで十分に記録されていなかったパラケルスス受容史の一面(初期近代のホムンクルス論の歴史)を補完することができた。またパラケルスス主義が孕む宗教的な側面について、特に終末論的な特徴をパラケルスス死後の支持者たち(P.リンクやO.クロル)について確認するとともに、そこにおける偽文書の影響を明らかにした。
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自由記述の分野 |
科学思想史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は未開拓の文書群をとりあげることによって初期近代の未開拓領域への貢献を果たした。特に、学問の改革を目指したパラケルスス主義運動が、終末論的な議論を孕んでいたことは、この時代の科学と宗教との関係に新たな知見を加えるものである。また、初期近代のホムンクルス論の歴史は、当時の錬金術的な自然模倣・自然操作の観念が批判・排除されることによって、却って近代文学の素材(ゲーテ『ファウスト』)を準備するという科学思想史と文学史とを繋ぐ視点を提供する。これらの研究成果の一部は一般書店にも流通する書籍やインターネットなどの媒体においても発表され、本研究事業の社会的還元を試みた。
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