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2021 年度 実施状況報告書

戦後民主主義と知識人の社会参加に関する思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K12973
研究機関京都大学

研究代表者

渡辺 恭彦  京都大学, 大学文書館, 特定助教 (90817727)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード高橋和巳 / 全共闘運動
研究実績の概要

高橋和己は時代の先鋭的な矛盾を体現する知識人の苦悩を小説で描き、知識人としての立場にも自覚的であった。今年度は、高橋の知識人論に焦点をあてて研究を進めた。文学理論研究の成果である「知識人の苦悩―漱石の『それから』について-」(1967)で実作『悲の器』(1962)を知識人文学と位置づけるなど、知識人とは何かが高橋にとって研究と文学において大きなテーマであった。
さらに、吉本隆明との対談(1968年5月)をもとに、吉本の「大衆の原像」と高橋の「庶民」を対比させ、高橋の知識人観や学問論を浮き彫りにした。1969年前後に高橋は、ロシア革命のインテリゲンチアとマルクス主義の知識人論を踏まえつつ、学園闘争で叫ばれる自己否定を文学的に捉え直した。文書館所蔵の京大闘争資料から学生が突きつけた問いを取り出し、学生との対話のなかで高橋が知識人論をどのように先鋭化させたのかを考察した。
これらの成果を「高橋和巳の知識人論―「わが解体」まで―」『京都大学大学文書館研究紀要第20号』で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

高橋和巳に重点を置きつつ、吉本隆明や丸山眞男との比較を意識しつつ進めている。今年度は、高橋と京大闘争との関わりを深く掘り下げることができた。ただし、京大闘争に対する理解は断片的なものにとどまっており、今後は微細な事象についても考察を深める必要がある。

今後の研究の推進方策

大学人の社会実践について、京大闘争の微細な事象に目を向けつつ検証する。とりわけ、自主講座やティーチイン、反大学講座などに関わった大学人の動向を分析する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 高橋和巳の知識人論-「わが解体」まで-2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺恭彦
    • 雑誌名

      京都大学大学文書館研究紀要

      巻: 20 ページ: 31-49

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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