研究課題/領域番号 |
19K12982
|
研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
小寺 未知留 東京藝術大学, 音楽学部, 助手 (30835260)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | マックス・ニューハウス / サウンド・アート / 音楽心理学史 / 学際性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、サウンド・アーティストとして知られるマックス・ニューハウス Max Neuhaus(1939-2009)を調査・分析し、「ニューハウスに関する記述において、音楽とは何か」という問いへの解答を提出することである。研究期間の前半2年間では、ニューハウス自身の著述における「音楽」への言及・論及の収集・分析を行い、作品・創作活動に対する彼の正当化戦略を再構成することを目標としている。1年目にあたる2019年度には、ニューハウスの著述の内容を精査し、収集した情報を時系列に沿って整理し直した。この作業は、研究成果として発表する前の下準備として不可欠であり、現時点で90%程度終了している。これにより、彼の活動期間全体を見渡した上での論証が可能となる。また、サウンド・アート研究を進める上での基礎的な情報、および、今日の日本におけるサウンド・アート・シーンに関する情報の収集も着実に進んだ。 以上に加えて、国際学会において、音楽心理学の歴史に関する口頭発表(“Music Psychology and Music Theory: A Reexamination of _The Psychology of Music_ (1982) as a Locus in the Formative Stages of Interdisciplinary Development)を行った。この発表では、1982年に出版された音楽心理学の古典的文献、ダイアナ・ドイチュ Diana Deutsch編『音楽の心理学』における「音楽理論」への言及・論及に着目し、音楽心理学と音楽理論という2つの学問領域の学際的関係について考察した。この成果は、ニューハウスが活動したのと同時期における音楽心理学の研究に焦点を当てたものであり、彼の創作背景を知る手がかりのひとつにもなると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
情報の収集・分析は着実に進んだが、それを研究成果として提示するまでには至っていない。また、未だ入手できていない重要文献があるため、進捗状況を「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目(2020年度)には、1年目(2019年度)に行った調査・分析の内容を口頭発表および論文のかたちで発表する。また、並行して、研究期間の後半2年間に向けた事前調査も進める。ただし、当初、夏期休業期間中に行う予定にしていた海外での調査は、新型コロナウイルスの感染が拡大している現状を踏まえ、2021年の春期休業期間以降に延期する可能性が高い。
|