研究課題/領域番号 |
19K12984
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
萩原 里香 東京藝術大学, 音楽学部, 助手 (70783398)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ユダヤ人 / 舞台芸術 / 北イタリア / ルネサンス / バロック |
研究実績の概要 |
今年度は国内での資料収集を中心として研究環境を整理することに努めた。また本課題が採択される以前に国際学会において口頭発表した研究について、さらなる発展を加えて論文としてまとめた。北イタリアの中都市マントヴァで活動していた16世紀のユダヤ人芸術家に着目したことからスタートした当課題であるが、その人物から後の世代の彼らのコミュニティがどのように都市や宮廷とかかわり、芸術の発展に寄与することになったか、そのひとつの側面を、数人の人物といくつかのイベントを通して検証した。 それにより、ユダヤ人コミュニティの「共同体」という枠組み意識の強さと、その中にも秀でた「個」が存在し、とりわけ芸術の才を持っていた「個」が確認できること、その「個」がキリスト教社会に与えた芸術的影響を探るという課題にたどり着いたわけであるが、最初に取り組んだ16~17世紀のマントヴァのようなケースが他都市に存在するか否かを現在調査しつつある。引き続きその調査に注力するが、具体的なケースに思うように出会えていないのが実情である。よって少し時代をさかのぼることも視野に入れていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの成果の発表と進捗の整理、次の方向性を確認することはできていたが、年度末の欧州への渡航を断念したため、追加の資料収集を十分に行なえなかったこと、まとまった時間を確保できなかったことが理由としてあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は引き続き、北イタリアの都市におけるユダヤ人コミュニティの芸術活動を考察していく。都市の君主(もしくは政府)のユダヤ社会(人)に対する保護の状況、さらには、都市の芸術庇護とユダヤ人芸術家の関係を洗い出すことを中心とする。また、1年目に渡航して行う予定だった調査の時間を確保できるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたイタリアでの現地調査が、新型ウイルスの流行により自粛せざるを得なくなり、その分の予算消化が行えなかった。次年度以降に初年度予定だった現地調査を盛り込み、遅れている進捗を取り戻したい。
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