研究課題/領域番号 |
19K12984
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研究機関 | 武蔵野音楽大学 |
研究代表者 |
萩原 里香 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (70783398)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ユダヤ人 / 舞台芸術 / 北イタリア / ルネサンス / バロック / 踊りのマエストロ / 祝祭 / コラーゴ |
研究実績の概要 |
前年度にイタリアのフェッラーラにおける舞台実践をとりあげた際、ペーザロ出身のユダヤ人、グリエルモ・エブレーオが活動していたことに触れた。当該年度は、彼のような踊りに従事していたユダヤ人の「踊りのマエストロ Maestro di danza」に着目し、彼らのなかには祝祭で全体を統括する任を負う者がいたことを掘り下げた。 ルネサンス末期からバロック時代にかけて、婚姻や戴冠などの祝祭は、プロデューサーのような立場の者を中心に企画されるようになり、舞台上演責任者「コラーゴ corago」や興行主「インプレザーリオ impresario」のような職が確立していった。このようなシステム化された人物が登場する以前、宮廷におけるそのような役割は「踊りのマエストロ」にあったと思われる。 ユダヤ社会においては音楽と踊りの知識は子どもの教育に欠かせないものであり、キリスト教社会において職業制限があったユダヤ人たちは、必然的に職として踊りの教師を選択していた。彼らは、固定で宮廷に雇われるよりもお祝い事があるときに必要に応じて臨時に雇われることが多く、そこでは振付、教育、実践のほか、踊りのための音楽も書いていた。踊りだけではなく音楽にも精通していた、祝祭時には欠かせない存在であったと言える。 彼らが手掛けていた作品は祝祭の目玉と言える富と権力を象徴するものであり、よって、ユダヤ人の活躍が目立つ「踊りのマエストロ」は祝祭を取り仕切っていた存在であったと考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外研究が叶わなかったことで全体的に遅れていたが、研究期間を延長したため、結果順調に進んでいると言える段階にあると考える。延長年度、本研究のまとめを行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
ルネサンス時代、ユダヤ人を中心に「踊りのマエストロ」が祝祭を取り仕切っていたことを考察したので、そのケーススタディをあげることで本研究の説得力を増したい。とりわけ、ヴェネーツィアやルッカなどに注目している。さらにバロック時代において、ゲットー設立の広まりの影響で彼らの活躍が見えづらいが、事例を探りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス流行の影響で3年間海外渡航を自粛していたため、予定通りの予算消化ができなかった。延長年度、引き続き当研究を継続し、最終的な文献収集などに予算を充てたいと思う。
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