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2023 年度 実施状況報告書

イタリアにおける「宮廷ユダヤ人芸術家」のオペラ文化への貢献

研究課題

研究課題/領域番号 19K12984
研究機関武蔵野音楽大学

研究代表者

萩原 里香  武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (70783398)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワードユダヤ人 / 舞台芸術 / 北イタリア / ルネサンス / バロック / 踊りのマエストロ / 祝祭 / コラーゴ
研究実績の概要

前年度、ルネサンスの時代の北イタリアの宮廷では、婚姻や戴冠などの祝祭におけるプロデューサーのような役割は「踊りのマエストロ」が担っていたと思われ、その「踊りのマエストロ」にはユダヤ人の活躍が目立つという点を考察していた。これらが後に言わばシステム化され、舞台上演責任者「コラーゴ corago」や興行主「インプレザーリオ impresario」のような職が確立していったと考えられるが、この点を以前の研究成果と結びつけて考察を進めた。総合的に舞台芸術を見つめる立場としてのコラーゴは、舞台を作り上げるにあたって「真実らしさ」を重視していたという点である。舞台上で行われる芝居に音楽が重要な要素として関わっている時点でその芸術は真実らしくなく、それにどう対応するかがオペラ黎明期での課題でもあった。そこで踊りにおいての「真実らしさ」は何なのかという問題に改めて立ち戻り、舞台に取り入れるべき踊りはどういったものか再考した。当時の生活のなかにはさまざまな種があったが、舞台に取り入れるのはシンプルなものでなければならなかった。「真実」からかけ離れてはいけないが、見ている者に喜びや驚きを引き起こすには、ダンスホールで行われるものと舞台で行われるものでは同じであってはならない。この点において、テンポや足の動きなどを通して語られている。これらは1630年頃に書かれた論考から読み取れるが、同書では「踊りのマエストロが歌を理解しているか確認すること」もコラーゴの役割であったと記載されているため、この時点でコラーゴ=踊りのマエストロではないこともわかり、それぞれの役割が専門化していったことが見えてくる。
博士論文からの関連事項として取り組んできたが、出版助成を得る事ができたため、年度内に本研究成果を含めた単著を刊行する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海外研究が叶わなかったことで全体的に遅れていたが、研究期間を延長したため、結果順調に進んでいると言える段階にあると考える。最終年度として本研究のまとめを行いたい。

今後の研究の推進方策

博士論文から進めてきた研究成果とのつながりが見え、改めて全体を見つめ直したことで、よいかたちでひとつにまとめられる運びとなっている。コロナ禍で当初より研究が長引いたことにより、最終年度に出版助成を受けることも決定したので、単著刊行に向けて最終段階を乗り切りたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス流行の影響で3年間海外渡航を自粛していたため、予定通りの予算消化ができなかった。助成いただいた出版に向けて最終的な調整を行いたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] オペラ改革における台本変化に関する考察 ―グルック《エツィオ》2つの版の比較を通して―2024

    • 著者名/発表者名
      萩原里香
    • 雑誌名

      武蔵野音楽大学研究紀要

      巻: 55 ページ: 133-152

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] バロック時代の楽器を楽しむ2024

    • 著者名/発表者名
      萩原里香
    • 雑誌名

      二期会通信『OPERA』

      巻: 337 ページ: 12-13

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ヘンデル最後のオペラ『デイダミーア』2023

    • 著者名/発表者名
      萩原里香
    • 雑誌名

      二期会通信『OPERA』

      巻: 336 ページ: 8-9

    • オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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