今年度は、大正時代に西洋音楽の楽譜を出版していたシンフォニー社、白眉出版社、岡田日榮堂などを中心に、出版された作品のサンプル調査を行った。それぞれの違いとともに、複数の出版社から出版された「人気のあった」作品も明らかとなった。 また『改正ゆにてりあん唱歌集』などから、賛美歌集における西洋音楽の出版についても考察した。これは、大正時代に人気を博したセノオ楽譜の出版作品との関連が興味深い。 これらの個々の事例の積み重ねから、日本の洋楽受容の黎明期における楽譜出版、そしてそれが洋楽受容全般へ与えた影響が解明できるものと考えている。
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