本研究は本年度をもって研究最終年度となる。研究最終年度の成果の一つとして、アフリカのガーナで開催された国際伝統音楽評議会で、「A Japanese Musical Instrument in Africa: Intersecting Journeys of Taishogoto and Karayuki-san」という発表を行った。この発表では、アフリカへの大正琴の伝播の軌跡、その受容など、アフリカ音楽の研究者と意見交換が行えると期待していたのだが、私が交流したアフリカ音楽研究者は誰一人として、アフリカで受容されたこの日本の楽器について知らない様子で、むしろ大きな驚きをもって私の発表を聞いていた。このように本研究は革新的であるのだが、コロナの影響で残念ながらその進捗は大幅に遅れてしまった。特に本研究は、フィールドワークをその研究基盤にしているので、世界各国で行われたコロナによる人の流動の規制下では、フィールドワークを進めようがなかった。ただし、理論的な部分では、本研究は大幅に進捗し、新たな可能性を見せ始めている。それが、2023年度から始めた「Transborder Humanityの研究:旅をする『からゆきさん』の音楽を中心に」である。今後は、この本研究を発展させた「Transborder Humanityの研究:旅をする『からゆきさん』の音楽を中心に」において、研究発表などを行っていくつもりである。ちなみに、本年度の研究実績等も「Transborder Humanityの研究:旅をする『からゆきさん』の音楽を中心に」に入力する。
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