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2023 年度 研究成果報告書

水俣病の「記録」と映像表現―社会・自然・メディア環境との非言語的対話について

研究課題

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研究課題/領域番号 19K12989
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分01050:美学および芸術論関連
研究機関福山大学 (2023)
名古屋大学 (2019-2022)

研究代表者

洞ヶ瀬 真人  福山大学, 人間文化学部, 准教授 (10774317)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードドキュメンタリー / メディア史 / 水俣病 / 環境問題 / 映像表現 / 映像倫理 / 公害 / メディア表象
研究成果の概要

1960-70年代の《水俣病》に関する映像ドキュメンタリーが、加害企業の告発や被害者救済の訴えに留まらない複雑な描写を用いている点に着目し、その映像表現の構造や社会的効果、環境問題への意義などについてメディア横断的観点から研究した。その結果、①それらの多くが、作家主体の意志から離れたエイジェンシーを持つ「記録」の特性に依拠していること、②視る者の主体感を「記録」によって傷ついた他者に向き合せる新たな倫理性が表れていること、③それらによって、悪を裁く社会正義ではなく、環境問題への意識喚起を多様な人々へ訴えていたことなどが明らかになった。

自由記述の分野

映像文化

研究成果の学術的意義や社会的意義

学術的には、美学的な見地から映像音響表現の可能性を分析しただけでなく、水俣ドキュメンタリーの表象と、経済成長を最優先にした時代の社会背景や環境汚染の犠牲との連関を、メディア社会学、石牟礼文学などにも絡め領域横断的に議論した点に本研究の意義がある。また社会的な意義について、悪を裁くことに終始しがちな社会正義ではなく、犠牲を伴う経済活動への反省を多様な人々と共有することに力点を置いた本研究の観点は、気候変動など、人類全体での取り組みを求めるグローバル環境問題の論点と親和性が高い。加えてこの試みが、日本の公害問題への関心を現代に甦らせることにつながれば、その意義はさらに深まるだろう。

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公開日: 2025-01-30  

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