研究実績の概要 |
本年度は多様な領域における美的知覚・批評行為について研究を進めた。 まず8月に東京国立博物館にて2日間にわたって開催されたVTC/VTS日本上陸30周年記念フォーラム2022「対話型鑑賞のこれまでとこれから」にて招待レクチャー「対話型鑑賞の功罪:美的知覚の観点から」を行った。このイベントはオンラインでも配信・販売され、大勢の人に見ていただいた。このフォーラムの成果は現在書籍化に向けて作業が進められている。2023年には刊行できる見通しである。 12月には共編著書として『世界最先端の研究が教える すごい哲学』(稲岡大志・森功次・長門裕介・朱喜哲編著、総合法令出版)を出版した。哲学の幅広い領域の最新研究を紹介する、珍しいタイプの哲学入門書である。本年度は、関心の近い研究仲間と一緒にこの書籍を一から企画し、執筆者を集める作業にかなり時間を取られたが、無事に刊行まで進むことができた。哲学入門書としては美学・芸術哲学のトピックに多くのページが割かれた本となったし、美学・芸術哲学の多様な話題を紹介する本を編めたことについては、非常に満足している。私は「ヘヴィ・メタルを「ヘヴィ」にしているのは何か?」「マジック・ショーの面白さはどこにあるのか?」の2項目を執筆した。 また同じく12月には、『フィルカル』Vol.3, No.3にコラム「新海誠が苦手だ」を発表した。 またDominic Lopes, Bence Nanay, Nick Riggle, Aesthetic Life and Why It Matters, 2022(個人訳、勁草書房より2023年出版予定)、およびFrank Sibley, Approach to Aesthetics, 2001, (共訳、勁草書房より出版予定)の翻訳作業を進めた。
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