研究実績の概要 |
研究初年度である2019年度には、交付申請書に記載した研究実施計画の通り、まずフランス国立文書館ピエルフィット館と、フランス国立図書館オペラ座館での調査を行った。この調査は2019年7月19日から8月2日の日程と、2020年2月7日から14日の2回実施することができ、この2回の調査実施によって、これまで不明確だったバレエ伴奏者の勤務実態を、より具体的に明らかにすることが出来た。 2019年夏の調査では、フランス国立文書館の史料番号AJ13/453-455, 478, 489, 645-661, 669, 1003A- 1005B, 1184-1185III, 1213-1270を中心に、人員記録を洗い出しを行った。またフランス国立図書館オペラ座館では、19世紀のパリ・オペラ座で初演された代表的なバレエ作品のうち、《ラ・シルフィード》、《海賊》、《泉》などのオーケストラ・パート譜の調査を行ったことで、パート譜セットに含まれるバレエ伴奏者用の楽譜の撮影に成功した。 一方、2020年2月の調査では、国立文書館が所蔵する19世紀後半のオペラ座における部門別・月別の会計簿を中心に調査した。これにより、研究課題申請以前に存在を確認できていたバレエ伴奏者のうちの数名について、より詳細な雇用の時期や雇用形態を確認することが出来た。また、解明すべき点の一つである、弦楽器からピアノ伴奏への移行の時期についても、会計簿の給与支払い記録を追うことによって、比較的狭い範囲での時期を特定することが可能であることが判明した。これらの記録は随時Excelファイルに転記し、研究最終年度に行うデータベース構築のための準備としている。 同時に、19世紀から20世紀にかけてのバレエに関する文献講読を行い、バレエ伴奏の歴史的・社会的文脈への理解を深めることが出来ている。
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