研究課題/領域番号 |
19K12995
|
研究機関 | 武蔵野音楽大学 |
研究代表者 |
阪田 玉藻 (永井玉藻) 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (80836940)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | バレエ / 伴奏者 / フランス / パリ・オペラ座 / 19世紀 / 演奏者 / 音楽社会学 / 表象文化論 |
研究実績の概要 |
2021年度の研究実施にあたっては、前年度に引き続き新型コロナウィルス蔓延の影響を受け、研究の遂行には多少の困難が生じた。本研究では当初、2020年度内に2度(夏季および冬季)にフランスで資料調査を行う予定であったが、渡航が不可能だったことから、この2回の資料調査は2020年度内に実施することが出来なかった。渡航困難な状況は2021年度前半にも変わらなかったため、2021年度に予定していたデータ入力のためのデータそれ自体を収集できず、研究の遂行には非常に厳しい状況にあったと言わざるを得ない。 しかし、今年度は本研究計画の実施において、大きな成果を得られることとなった。まず、2022年3月から、フランスへの渡航に関わる検疫関係の制限が大幅に縮小されたため、2年1ヶ月ぶりにフランスの資料館での集中的な資料調査を行うことができた。この作業により、本研究の大きな目的としてきた点である、伴奏を担う人物と楽器の変遷が明らかになったことは、本研究の実施における成果の一つと言えるだろう。 また、研究成果を社会・国民に還元するという科研費の目的に即する成果として、ウェブメディアでの連載執筆を2021年5月から開始した。これにより、パリ・オペラ座に関してこれまで明らかにされてこなかった、さまざまな歴史的事実を、研究者のみならず一般にも広く公開できるようになった。さらに、本研究課題実施の総括として、単著の出版に向けた執筆作業を行ったことも、重要な成果の一つと言える。この書籍は出版社も決定し、すでに原稿を送付済みである。 このように、世界的に困難な状況にありながらも本研究は順調に進展しているため、より充実した形で研究の成果を得られるよう、研究実施期間を1年間延長することとし、本研究計画は2022年度までの実施とすることにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、本研究は2019年度から2021年度までの3年間で実施することを予定していた。しかしながら、新型コロナウィルスの蔓延により、実施期間中の約2年間はフランスでの資料調査を行えず、またフランスでの外出禁止措置やウィルス蔓延防止措置などの影響を受け、資料館で業務を行うフランス側スタッフの数が著しく制限された。 そのため、資料の複写依頼を行っても、複写物が手元に届くまでには多大な時間がかかり、著しく時間を取られる。最終的に、2022年3月に渡航が可能になり、資料調査を行うことが出来たが、収集資料が膨大であることから、その内容分析にはさらに時間が必要となる。そのため、本年度の自己評価区分は「(3)やや遅れている」とし、感染症の影響を受けたことによる延長申請を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年3月の資料調査で収集した資料の整理、およびデータ分析を行い、バレエ伴奏者のデータベースへの情報入力を進める。また、伴奏者用譜面のデータについても、内容の整理を行い、随時データ入力を進めていく。その過程でさらに必要な資料が出てきた場合には、フランス国立図書館、およびフランス国立公文書館にオンライン複写の申請が可能なものは、予算の範囲で可能な限り複写を申請する。 また、資料整理およびデータ分析の過程で判明した新たな事実については、所属大学などの紀要論文としての投稿や、2022年11月に行われる予定である日本音楽学会全国大会での研究発表などの形で、随時公開する。 さらに、本年度には上述の単著出版を予定しているため、出版社と連絡を取り合いながら、原稿の推敲と出版に向けた作業を行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に当初予定していたフランスへの2回の渡航が不可能になり、また緊急事態宣言の発出による国内移動の制限などもあったため、旅費などとして予定していた金額の分が、2022年度使用額として繰り越されて生じた。これらの予算については、フランスへの渡航が可能になれば資料調査の費用などとして使用することを予定している。
|
備考 |
ウェブメディア「バレエチャンネル」における連載。
|