本研究では、古代から中世に成立した仏像彫刻のうち、既知の作例からケーススタディの題材を選択し、現在に至る履歴と、蓄積されてきた多様な言説について追跡をおこなった。また、彫刻分野における近代の国宝指定がどのように受けとめられ、現在に至るまでの言説にどのように作用してきたかを、記念碑を素材として考察した。それらを通じ、既知の彫刻作例の前近代における履歴、近代における文化財としての再認識の過程、国宝指定の経緯、現代に及ぶ地域社会との関わりなどの事情を含めた、仏像彫刻の生命誌的理解のための方法を模索した。
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