研究課題/領域番号 |
19K13023
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
李 知映 成蹊大学, 文学部, 客員准教授 (70812618)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 劇場産業化 / 文化観光 / 公演観光 / 観光コンテンツ / 文化芸術立国 / 観光立国 |
研究実績の概要 |
本研究は日本における劇場産業化政策の課題を検討することを第一の目的とする。それを踏まえた上で、文化・観光・産業等を一体として捉えた新たな政策の提言を行う。 初年度であった2019年度は研究対象となる分野の研究動向を体系的に把握するため先行研究の基本調査を行った。それと並行して、先行国の事例を考察するため海外調査を行った。視察先はアメリカのラスベガスと韓国のソウル(主に、貞洞劇場と大学路)である。その海外調査においては現地にて資料収集及び聴き取りも行った。 2019年度の研究活動を通じて得られた研究成果は、日本文化政策学会第13回研究大会(さいたま)にて「エンターテインメント都市、ラスベガスの成功戦略;公演コンテンツの側面から」というタイトルで口頭発表を行った。ここでは主に劇場運営の特性、公演プログラム、マーケティング戦略、そして評価等に関し分析及び考察を通じ得た成果を発表した。そして、「伝統芸能の産業化―韓国貞洞(ジョンドン)劇場の『ミソ(MISO)』を事例として」というタイトルで『文化政策研究』第12号に事例報告として掲載された。なお、ラスベガスとソウルの先行国の事例分析から得た研究成果については出版を視野に入れたアウトプット作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行する上で、初年度であった2019年度の研究活動は当初の計画通りにおおむね順調に行なわれたと評価できる。 先行研究の基本調査及び分析、海外調査を通じた先行国の事例の考察等に関しては計画通りに進んでいた。しかし、文化経済、文化政策、観光、それらを相互に結び付けつつ、劇場産業化の展望として示すことを試みていることから考えて、観光分野の専門家等とのネットワーク形成がまだ足りないため、次年度からはより横断的な研究を進めていくことを念に入れたい。
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今後の研究の推進方策 |
誰もが予測できなかった事態、新型コロナウィルス感染症によって、私たちの健康や経済、日常生活に大打撃をもたらし、突如として重苦しい気分に巻き込まれている現況の中、経済の復興、芸術文化の復興、観光の復興等にに少しでも本研究が役立てるように念を入れて進めていきたい。 上半期は新型コロナウィルス感染症を防ぐため国内外の現地調査は行わず先行研究等を中心とした調査・分析を行い、下半期からはまずは国内中心に調査を進めていく。京都(ギア専用劇場(ART COMPLEX))や大阪(クールジャパンパーク大阪(仮称))、沖縄(国立劇場おきなわ/一般財団法人 沖縄観光コンベンションビューロー)等、国内で公演観光と関連する活動を行なっているところの現地調査を視野に入れ、関係者インタビュー及び資料収集、課題の分析、そして文献や流用情報等で得られない現場体験を活かすことで、本研究の土台を固め、そこから重要課題を絞っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた直接経費は主に物品費と人件費・謝金の枠からである。特に、人件費・謝金は国内外の現地調査にて行われたインタビュー等、専門知識や資料等の提供者への謝金として支払う予定であったが、当該年度に実施した件に関しては謝金等が発生しなかったため支出が0円である。 次年度は今まであまり交流が無かった(人脈がない)観光分野を含め、様々な場面から人件費・謝金の支払いが要されている。また物品に関しても、当該年度では研究遂行のための環境整備を少し後回(勤務先の移動のため)しにしていたが、次年度は物品費の支払が要されている。
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備考 |
韓国にある韓国伝統文化大学から特講を依頼され、「日本の文化政策―文化と法律、そして検閲」というタイトルで2019年11月7日、韓国伝統文化大学文化遺産専門大学院文化遺産産業学科にて講演を行った。
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