研究課題/領域番号 |
19K13025
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
塚田 花恵 東京藝術大学, 大学院音楽研究科, 研究員 (60734192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 音楽史教育 / 音楽史記述 / 20・21世紀音楽史 / 現代音楽 / ヴァナキュラー音楽 / ポピュラー音楽 / 芸術音楽 |
研究実績の概要 |
本年度は、日本音楽学会東日本支部の定例研究会にて、ロックと映画音楽の領域の音楽史教育の専門家を招き、「西洋音楽史教育における「ポピュラー音楽の世紀」――20・21世紀音楽史のナラティヴとレパートリー再考」と題したシンポジウムを開催した。まず、議論のたたき台として、本研究で進めてきたバークホルダー、グラウト、パリスカ著『西洋音楽史 A History of Western Music』(W. W. Norton & Company刊)の20・21世紀音楽史記述の特徴について、概要を発表した。それを踏まえて、「芸術音楽」と「ポピュラー音楽」の20・21世紀音楽史記述を統合していく可能性について討議を行った。 バークホルダー、グラウト、パリスカ著『西洋音楽史』の20・21世紀音楽史記述については、議論の中から以下の問題点が浮かび上がった。これらの問題点が、今後、より包括的な20・21世紀音楽史記述を模索していくうえでの具体的な課題になると考えられる。 ①芸術音楽のモダニズムを20・21世紀音楽文化全体のなかで相対的な位置に置こうとするならば、ジャズやロックのジャンルにおけるモダニズムも同様に、ジャンル史のなかで相対的な位置に置くべきであろう。しかし、それらのジャンルの作品事例は、芸術音楽とのフュージョンに偏りがちになっている。 ②フュージョンに至ることを「進歩」と捉える音楽史の語り自体が、アメリカ的な「ポスト・モダン」観を反映しているのではないか。 ③楽譜と音源を教材として「レパートリー」を学ぶという学習スタイルが、芸術音楽の歴史教育を前提としたものであり、ポピュラー音楽の歴史教育の場合には適さないのではないか。また、①の問題点は、教材がこのフォーマットで固定されていることが一因なのではないか。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本においては、高等教育レベルの音楽史教育の方法論に関する研究が少ないため、音楽史教育に携わる研究者同士の議論の場を創ることが、本研究の進展には不可欠であった。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、シンポジウムの企画・実施が遅れていたが、本年度ようやく実現することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度のシンポジウムでの議論を踏まえて、ジャズやロックの音楽史記述・教育について、研究状況を整理したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本音楽学会東日本支部、及び登壇者の都合で、シンポジウムの実施日が年度末になった。そのため、シンポジウムでの議論の結果を総括するための時間が必要となった。 次年度は、シンポジウムでの議論を踏まえて、ジャズやロックの音楽史記述・教育の研究状況を整理し、論文にまとめる予定である。繰り越した額は、そのための補完調査に使用する予定である。
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