研究実績の概要 |
田中のアートディレクションのもと、研究協力者の実験物理学者KoseとサウンドデザイナーDinulovic、Bruckmayrとの素粒子物理と音楽、芸術の交差する学際的な協働を通じて、宇宙の「音」と捉えられる素粒子、宇宙線ミューオンを用いた楽器のあり方の研究基盤となる、検出システムおよびサウンドシステムを発展させた。2021年9月、それまでの研究過程と成果をまとめた論文を国際ジャーナルで発表した(招待有)。集大成として、2021年11月には総合的なパフォーマンスや講演(Connected Ink 2021、東京)として研究成果を発表した。なお、後者の作品は2022年3月に東京藝術大学からアート・ルネッサンス賞を受賞した。
世界的なパンデミックの影響から遠隔での研究開発が続いたが、最終的な研究成果であるパフォーマンスの発表の際には欧州の研究協力者の来日も叶い、最も望ましいかたちで体験を共有できたことは感慨深い(会期2日間の来場者約500名、オンライン視聴者約6,000名)。当初予定していた京都大学花山天文台での発表は入国制限によりついに叶わなかったが、宇宙線ミューオンのみならず、太陽風のパラメータを用いたサウンドデザインを交えて音楽的な要素をくわえるなど、当初の予定を超えてこれまでの研究を応用する段階へと発展した。2022年度以降は本研究をまとめて論文化し、次なる研究の構想と計画を着実に進める。
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