最終年度では、本研究計画の主要技術である『立体鉛筆画』の品質管理を行うため、『立体鉛筆画』の品質を『立体感』『不快感』の観点で数値的に評価できる手法を追求した。この手法は、元のステレオ画像が持つ視差に起因する画像情報が、立体鉛筆画化することでどのように変化したのかを分析する手法である。追求していく過程で、当該評価法は汎用性の高い手法となり、最終的には立体鉛筆画に限らず、画像処理されたステレオ画像の『立体感』『不快感』を評価できる手法となった。この研究成果と、また研究期間中に得られた知見を広く周知するため、学術論文と商業誌への投稿・掲載を行った。 研究の知見は、ステレオ画像を一枚のディジタル画像として扱って画像処理した際に、その立体感にどのような影響が生じるのかを平易な表現で紹介する内容である。また、同誌では研究知見を元に、『漫画家がステレオ画像から立体漫画を作成する』といったエンターテインメント性の高い応用例も紹介した。 スマートフォンやVRゴーグルの普及に伴って、ステレオ画像は以前に比べて身近な存在となっている。今後、ステレオ画像は一部の専門家に限らず、多くの人にとって画像加工アプリの対象や、ソーシャルネットワークサービス等を通じた手軽なVR体験として発信対象になっていくものと考えられる。本研究で得られた知見はこれらの動きを活性化する役割を担えると考えられる。 また、学術論文として発表した『画像処理されたステレオ画像の立体感・不快感を数値評価する手法』は、国際的に見ても新規的な手法であり、主観評価に頼らざるを得なかった『立体感』を数値化することができた。これにより、ステレオ画像を画像処理する際に一つの明確な指針を提示できる成果となった。
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